Amazon Fire TVはペアレンタルコントロールという面でも優れている。4人分の子ども用プロファイルを個別に設定でき、それぞれに対してコンテンツのタイプを制限したり、1日の「視聴時間」の上限を設定することができる。
Amazonは、月額2.99ドルのサブスクリプション料金を支払えば、子ども向けのコンテンツを追加料金なしで無制限に視聴できるAmazon FreeTimeというコンテンツサービスも用意する予定だ。同社によると、このサービスは来月に開始されるとのことであるため、筆者は試用する機会に恵まれていないが、同僚のDavid Carnoy記者は同社のKindle Fireタブレット上で提供されているこのサービスのファンだそうだ(そしてサブスクリプション契約もしている)。
Amazonはプレス向けイベントにおいて、Amazon Fire TVがクアッドコアプロセッサと2GバイトのRAMを搭載し、優れたパフォーマンスを実現しているという点を強調していた。これらの仕様を見ると、性能面ではRoku 3やApple TVを抑えてトップを走っているのは間違いないものの、現実のパフォーマンスとなると話はそう簡単ではない。Amazon Fire TVにおけるメニューのスクロールは高速だが、Roku 3でも同様に高速であり、ブラウズ時にも大きな違いは感じられなかった。もちろん、余裕のあるプロセッサパワーによって、Amazon Fire TVのゲーム性能が相当強化されているのは確かであり、筆者がテストしていた時もゲームはすべてスムーズに動作していた。
Amazon Fire TVのスピードを本当に実感できるのは、Amazon Instantのコンテンツをストリーミングする時だ。たいていの映画やテレビ番組は、選択とほぼ同時に再生が開始され、筆者が試用したその他のストリーミングボックスよりもずっと速く感じられた。またストリーミング機器にありがちな、ビデオの早送り時や巻き戻し時のぎくしゃくした感じもほとんどなかった。
しかし超高速のストリーミングは、サードパーティーのサービスにも適用されるわけではなく、NetflixやShowtimeといったアプリからの動画のロードは他の一般的なストリーミングボックスの速度と同じ程度であった。また、Amazon Instantも常に迅速なストリーミング体験が得られるわけではない。筆者が米CNETのオフィスで試した時はほとんど毎回と言ってよいほど迅速であったが、自宅から接続した際のストリーミングはそれほどでもなかった。AmazonがASAPと呼んでいる超高速ストリーミング技術は、ユーザーの視聴習慣を学習して動作速度を向上させていくとのことであるため、自宅からの接続を続けていくと、そのエクスペリエンスも改善されていくのだろう。
Amazon Fire TVはほとんどの場合、安定して動作していたが、筆者の短い試用期間で1度だけ使用に耐えられないくらいの速度低下が見られた(ボックスを再起動すれば快適に動作するようになった)。1回しか発生していない事象からAmazon Fire TVの全体的な安定性を語るのは難しいが、この製品を継続して使用していくうえで注意すべき項目となったのは間違いない。
Amazon Fire TVは、使えば使うほどApple TVを想起させる。これらの製品は同じ価格であり、見た目も驚くほどよく似ており、いずれの製品も自社のデジタルコンテンツをサードパーティーのものよりも優先して扱っている。あなたが「iTunes」やAppleのエコシステムの大ファンなのであれば、Apple TVは素晴らしい製品になるだろう。また、あなたがAmazon Primeの動画ストリーミングなどの同社のエコシステムに傾倒しているのであればAmazon Fire TVが威力を発揮するだろう。さらにAmazonは、Cloud Playerによる楽曲サービスと、子ども向けコンテンツサービスのAmazon FreeTimeを開始するという機能向上を数週間後に予定している。
しかしRoku 3が99.99ドルという価格で行く手に立ちはだかっている。この製品でもAmazonの映画やテレビ番組へのアクセスが可能であり、その他多くのアプリが提供され、プラットフォームを横断した検索も可能となっているうえ、すっきりしたリモコンには動画を1人で視聴する時のためのヘッドフォンジャックが搭載されている。Rokuは推進するべき自社のデジタルメディアサービスを抱えていない。このため同製品は、Rokuがユーザーに視聴させたいコンテンツよりも、ユーザーが視聴したいコンテンツをより簡単に入手できるという点に力を入れていると感じられる(Rokuは最近、M-GOのサービスを他のサービスよりも優先的に扱うという誤った方向に進んだが、それでも全体的に見るとRokuの製品はプラットフォームの存在をほとんど意識させない作りとなっている)。
また、ゲームという点から見た場合、Amazon Fire TVは最も興味深い製品であり、現段階で最大の未知数でもある。Amazonがコンテンツの拡充を続け、このプラットフォームに注力できると開発者を説き伏せることができれば、ソニーやMicrosoftの高価な選択肢に購買意欲を削がれている人にとって特に、魅力的な小型コンソールに成長する可能性がある。
結局のところ、現時点での決め手は次の通りだ。あなたがAmazonのコンテンツエコシステムに傾倒しているのであれば、あるいはゲーム機能に興味を持っているのであれば、Amazon Fire TVは最初に検討するべき選択肢となるだろう。それ以外の人であれば、少なくとも今のところは、Amazon Fire TVが提供するゲーム以外のコンテンツのほとんどすべてをサポートしているRoku 3を検討することになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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