ソニーが同社独自の「PlayStation 4」(PS4)用仮想現実(VR)ヘッドセットを披露した。現時点では「Project Morpheus」と呼ばれている。
ゲーム分野では、「Oculus Rift」の登場で多くの人が次に何が来るのかと考えるようになっており、ソニーは自社ブランドの没入型ヘッドセットによって、その魔法の一部をわがものにしようとしている。ソニーがヘッドセットを発表するのは今回が初めてではない。実際のところ、同社は何年も前から非ゲーム用ヘッドセットを提供している。しかしProject Morpheusは、Oculus Riftの登場以来VRゲームと考えられるようになった分野にソニーが初めて投入する製品だ。また、Oculusと異なり、Project MorpheusはPS4専用である。
ソニーが米国時間3月18日夜、サンフランシスコで開催のGame Developers Conference(GDC)カンファレンスで発表したProject Morpheusは、同社の既存の「HMZ」シリーズのヘッドセットより小さい。未だに試作段階のOculus Riftより完成品に近いように見えるデザインで、青色に光るLEDを搭載し、映画「トロン」のような雰囲気を醸している。
ソニーの研究開発部門のRichard Marks氏によると、Project Morpheusの計画はゲームだけにとどまらず、米航空宇宙局(NASA)との提携が約束されているほか、イマーシブサイエンス(没入型科学)での使用にまで広がっているという。このように広範囲にわたる使用は、Oculus Riftでも検討されてきたが、実際はほとんどのVRテクノロジで計画されている。
ユーザーはProject Morpheusを使用するときに、どうやって自分自身を操作するのだろうか。「PlayStation Eye」「DUALSHOCK 4」「PlayStation Move」といったソニーの既存のコントローラを使用する。
現在ソニーが使用しているProject Morpheus開発キットは、1080pディスプレイと「90度以上」の視界に対応している。同開発キットは、頭部の位置や回転の検知、3mの動作範囲、360度全方向の動き、DUALSHOCK 4とMoveコントローラの同時使用といった機能を備える。しかし、今のところProject Morpheusは有線接続だ。ソニーは無線機能も検討しているが、近いうちに何らかの発表が行われる可能性は低いだろう。
ソニーは大手のCrytekやEpicなど、一部の開発企業との共同作業を既に開始しており、Project Morpheusのさまざまな体験の開発に取り組んでいる。これは朗報であると同時に、ソニーが自社のVRゲームテクノロジを成功に導く上でまさに必要なことでもある。
ソニーは先週、Project Morpheusの4種類のデモを行った。Oculus Riftのキラーアプリの1つである「Eve Valkyrie」、スクウェア・エニックスが先ごろリリースしたゲーム「Thief」、インタラクティブテクノロジデモの「The Deep」と「Castle」だ。
筆者はこれまでにThe DeepとCastleをプレイする機会を得た。The Deepの方がCastleより制約が多い。The Deepでは、プレーヤーはサメの檻に閉じ込められたダイバーとなり、照明弾だけを武器に戦う。このゲームは1台のDUALSHOCK 4で操作する。「操作」というのは、右のトリガーを引いて照明弾を発射することだ。頭を動かして周囲の状況を確認するが、サメの檻に閉じ込められているので、あまり体を動かすことはできない。
Project Morpheusは4つのLED追跡ライトを前面に搭載しており、PlayStation 4のカメラを使って動きを追跡する。背面にも2つのLEDがあり、ユーザーが頭を動かして後ろを見る動作を追跡する。
下を向くと、自分が操作しているキャラクターの足下を見ることができ、両膝を曲げると、キャラクターも同じ動作をする。筆者が現実世界の椅子に座ると、キャラクターはしゃがんでいるように見えた。この体勢で自分の胸を見ることもできた。非常に没入的な体験だった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス