UBMジャパンが1月末に開催したイベント「マーケティング・テクノロジーフェア2014」。その特別講演では、ヤフー マーケティングソリューションカンパニー マーケティングイノベーション室長の友澤大輔氏が「ビックデータカンパニーの実例から知るビックデータの実践術」と題してヤフーのビッグデータ活用について語った。
友澤氏は、ビックデータを語る際に3つのデータの要素が必要だという。1つ目は「Volume(量)」だ。Yahoo! JAPANでは、月間約560億ページビュー(PV)というアクセスをサイトに集めており、ユーザーの検索情報やページ遷移情報などをもとに、日々データ解析を行っている。ビックデータを語るためには、こうした膨大なデータが必要だ。2つ目は「Volocity(早さ)」だ。最大秒間アクセス5万という情報量を処理する処理速度とサーバ環境によって、大量のデータ処理が可能となる。3つ目は「Variety(多様性)」だ。Yahoo!は、食べログやクックパッドなどの他業種とのコラボを積極的に進めており、ユーザーの多種多様なデータを取得し、データ解析に活かしているという。
友澤氏は「データの量だけではなく、処理速度や多様なデータといった要素を通じて、さまざまな取り組みに活かすことができる」と語る。
こうしたデータをもとに、どのようにマーケティングに活かしているのか。例えば、検索窓を22ピクセルから28ピクセルに広げたところ、売上が0.64%向上したという。こうした事例を含む100近い指標をもとに、リアルタイムでテストを実施し、その結果をもとに仕様を決定するという。
「ビックデータを通じて、テスト実施から反応までの時間が短縮される。ユーザーの動きをもとにユーザーから教えてもらうことで、売上やPV向上などにつなげることができる」(友澤氏)
ヤフーは、2012年以降の新体制のもと、爆速経営をスローガンに事業を展開してきた。一見派手に思われるさまざまな施策も、その裏側にはビックデータをもとに日々「+1%のカイゼン」を行っていると友澤氏は語る。
「ウェブサービスは、工業製品のように事前のマーケティングをじっくりやるのではなく、まずはリリースしてからユーザーの反応をもとに修正できる。ユーザーの動きをもとに、サイズ、色、形、デザインを修正するためにビックデータを活用することは、効果的にサービスを修正するために必要な要素だ」(友澤氏)
PDCAのサイクルは、毎朝に修正事項を確認し、夕方のミーティングで修正作業の進捗を確認し、次の日の朝にはどのように修正されたポイントがユーザーの行動に反映されているかを検証するという。こうした日々の積み重ねを行うことが「+1%」の向上を促すのだという。
友澤氏は「従来は、過去の事実や取得可能な量的データをもとに、主観的な仮説によるホームラン狙いの施策にならざるをえなかった。ユーザーをどう動かすかという企画の考えは間違っていないが、それだけではこれからのデジタルマーケティングは難しい」と語る。
サイトやソーシャルメディア、検索などの大量のデータと客観的な事実から施策を考え、仮説検証する「仮説探究型」が今後は重要になってくるという。ユーザーに教えてもらう、動いたユーザーから学ぶという姿勢のもと、ユーザーの行動データを分析学習して施策立案をすべきだと友澤氏は語る。「ビックデータを使った爆速マーケティングこそ、爆速経営を支える大きな柱」(友澤氏)
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