小売業界は、4つの興味深い分野が出会う素晴らしい場所である。その4つとは、業務とテクノロジ、人間の行動、心理学だ。本記事では、近未来の小売店で見かけるかもしれない技術を概観する。
近未来のショッピングはより分析的になり、さまざまなビデオを活用して感情やエンゲージメントを追跡するようになるだろう。
未来の小売業界では、タブレット上で稼働するOSが「Android」なのか、「iOS」なのか、それとも「Windows」なのかといったつまらない質問が脇に追いやられ、実際の応用や販売といったものに焦点が当たるようになるはずだ。
小売業界は、4つの興味深い分野が出会う素晴らしい場所である。その4つとは、業務とテクノロジ、人間の行動、心理学だ。本記事では成熟度という観点で、既に実現されているものから、採用までしばらくかかるものまでを含むテクノロジについて紹介する。
こういったテクノロジの多くは、モノのインターネット(IoT)に関する部門だけでなく、小売り関係の大規模な部門を保有しているIntelの貢献によるところが大きい。これら2つの分野は急速に融合しつつある。Intelはかなり以前から、分析とIoTが多くのサーバやプロセッサの売り上げをけん引すると気付いていたのである。
ニューヨーク市で開催された全米小売業協会(NRF)の年次総会におけるIntelのブースでは、サンディエゴを拠点とする新興企業Emotientのデモが話題の中心の1つとなっていた。簡単に書くと、Emotientは人間の表情を読み取り、そこから感情を推し量り、得られたデータを店舗側が利用できるようにするための取り組みを行っている。
例えば、陳列棚の前で客がイライラした表情を見せると、お店の人は何らかの対応が必要である旨を知らされるようになる。また、うれしそうな表情を見せた場合、その店は該当商品の仕入れ量を増やすことになる。店は客が商品に対して見せる表情に応じて手を差し伸べたり、担当者をつけることになるわけだ。
Emotientの創業者であり科学者のリーダーであるMarian Bartlett氏は、人工知能とパターン認識機能に基づく同社の分析ソフトウェアが研究目的だけでなく、香水といった製品に対する情動反応のテストに用いられていると述べている。Emotientは2013年6月に製品をリリースし、ファーストフードや自動車、ヘルスケアといった分野でパイロットテストを実施してきている。Bartlett氏によると、Emotientは買い物をするという状況において「感情を読み取り、12番通路で途方に暮れている顧客がいると店のマネージャーに伝えることを目指している」という。
筆者の考え:Emotientは小売業界向けのキラーアプリを手にできるかもしれないが、多くの人々を恐れおののかせる可能性もある。読み取ったデータから個人を特定するのは不可能だとはいえ、顔認識は少し映画「マイノリティ・レポート」的な怖さを感じさせるものがある。筆者個人は、ミレニアル世代がそういったことを気にするとは考えていない。とは言うものの、他の世代の人たちはプライバシーに対する危機感を抱くかもしれない。小売業者と、コンシューマー製品を生み出す企業にとって重要なのは、透明性を確保したうえで、メリットを提示し、買い物客が本心を見透かされていると心配せずともよいようにすることなのだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス