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CNET Japan Live 2013

「マーケターは経営を担うポジションに」--CEOになり得るCMOが備えるべき資質 - (page 2)

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 2011年の東日本大震災後に、3月11日以前と以後で人々の行動や意識、気持ちがどう変わったのかをソーシャル上のデータをもとに検証するという試みが行われたことも紹介した。この例では「地震が来る前にあなたは何を思っていましたか、と聞かれても、すでに経験した後では思い出せない」(泉氏)。だが、ビッグデータやソーシャルを使ったリサーチであれば、こういった調査の難しいテーマであっても隅々まで浮き彫りにできるというわけだ。

データは顧客理解のためにある

 ビッグデータとソーシャルを組み合わせることで「消費者と対話できる時代になった」のも大きな変化だと泉氏は語った。

 1999年にはSeth Godin氏が著書の中で「インタラクティブな技術はマーケティング担当者が低コストで、双方向の対話を重ね、生活者とのワンツーワンの関係を築くことを可能にする」と、現在のソーシャルのような技術の出現を予言しており、「消費者と対話できること」は決して新しい考え方ではない。ただ、泉氏によれば、そうしたマーケティング活動が一般的になるのは、まだ遠い先ではないかと見ている。

 それは、あるメディアの記事が示唆しているという。

 「Facebookでユーザーが書くメッセージは、そのユーザーの友人やマッチングされた、ほかのユーザーにのみ届くよう最適化されているため、せいぜい16%程度の人にしか行き渡らない。あなたの言いたいことをガツンと届けたいなら、広告を買ってください。広告として出すことでコンテキストを無視してどんどん伝えられるから、というのをFacebook自身が明らかにしている」と問題提起している通り、ソーシャルを使ったマーケティングにはまだ乗り越えるべき壁があるのだ。


LCCのeasyJetのウェブサイトでは、ユーザーごとにパーソナライズ化した内容を表示する

 一方で現在は、その人の興味や関心を元にした広告をウェブサイト上に表示するようになっている。格安航空会社(LCC)のウェブサイトでは、アクセスしてきた人がどこの空港から出発したいと思っているのか、ビジネスで使うのか家族旅行で使うのか、といったようなデータを蓄積して活用することで、適切な内容の画像表示に切り替えたり、興味のありそうな地域の旅行プランを提示したりなど、パーソナライズ化する技術もすでに応用が進んでいる。

 「技術はすでにある。あとはマーケターが技術をどこまで使って最良のカスタマーエクスペリエンスを提供できるか、ということが問われている時代なんだと思う」(泉氏)

 とはいえ「データに対しては過剰な期待と過小な評価というのもある」とし、適正に評価してデータを使うことがいかに難しいかは、世界的なテーマにもなっているという。

 泉氏は、米大統領選の行方を詳細にデータ分析したことで有名なNate Silver氏の著書『The Signal and the Noise』(日本語訳は『シグナル&ノイズ』)にある「数字自体は何も語らない。語るのは私たち(マーケター)だ」という言葉を引用するとともに、こう釘を刺した。

 「データからどういうストーリーを描き出すのかが問われているが、データが何かしてくれるという期待が(マーケターにとっては)大きい。今はデータが爆発的に増えているということが強調されている。ただ、マーケターにとって知りたいことが増えているわけではない」

 マーケターが知りたいのは、誰が商品を買ってくれるのか、商品を一番買ってくれる可能性のある人は誰なのか、リピーターになり得るのは誰なのか、といったことであって「データだけが増えていっている。つまり、ノイズが増えている」とSilver氏は語っている。

 泉氏もこれに同意し、確かにデータはものすごく増えているが、解析のしようがなく「解析の現場にいる人たちに話を聞いても、解析そのものではなく、解析に関係のないデータや情報を取り除くのが一番大変だと口をそろえる」のだという。

 こうしたデータをめぐる複雑な問題からデータが取れた途端に、それまでのマーケティング手法を全否定し、投資対効果(ROI)や広告単価で顧客1人あたりの支払額を示す“Cost Per Acquisition(CPA)”などの数値しか信用しない“データ原理主義”と「そんなことを言っているからダメなんだ」と考える対極にいる人も現れている。

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