一方で、指揮台にある楽譜、つまりデータを見ることができないマーケターは指揮ができないわけであって、「統計学的な考え方ができない人は、これからは難しい」と見る。
たとえば流行語も生まれたNHKのドラマ「あまちゃん」の関東での平均視聴率20.6%に対して、その前に放映された「梅ちゃん先生」は20.7%であり、この平均視聴率を見る限り「あまちゃん」は「梅ちゃん先生」ほどの人気ではなかったと思える。
だが、この視聴率を発表しているビデオリサーチのデータは、関東でわずか600世帯分しかない。600サンプルで信頼度95%として考えた場合、同氏によれば「あまちゃん」の視聴率は17.36~23.83%の幅があるという。
すなわち、0.1%の差を、この視聴率測定の条件で議論すること自体がナンセンスだという。数字の奥にある本当の意味を本能的に感じられる統計的なセンス、数字を見て直感的に疑える素養が、これからマーケターに必要になってくると同氏は強調した。
最後にMercedes-Benz USAのCMOだったSteve Cannon氏がCEOに就任した“珍しい例”を紹介。今後CMOがCEOになるパターンは増えるだろうとも予測している。
CMOは「オーケストラの指揮者」のように会社のかなりの部分に関わるだけでなく、どこにイノベーションを起こす必要があるのか、といった分析データもすべてCMOに集まる上に「顧客を一番理解しているのもCMO。会社がどこへ向かうべきかをデータで見ることができ、それをもとに会社を導くリーダーシップを発揮できれば、一番有力なCEO候補になる」という。こうしたことから、CMOは経営の中枢を担うポジション、企業の経営に欠かせないリソースになると話し、講演を締めくくった。
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