ヤフーは11月15日、ビデオ広告事業に本格参入することを発表した。同社の提供する「Yahoo!ニュース」や「スポーツナビ」「Yahoo!映画」などの主力サービスに、映像と音声によるビデオ広告を導入することで、より消費者の記憶に残る広告コンテンツを充実させる。ヤフーでは、月間560億ページビューを誇る「Yahoo! JAPAN」のメディア力を生かし、YouTubeを始めとする大手ビデオ広告プラットフォームを押さえてナンバーワンを目指すとしている。
ヤフーはビデオ広告事業への参入にあたり、予約配信型のビデオ広告プラットフォームソリューションを提供する米Videologyと提携する。Videologyのプラットフォームでは、デバイスを横断した効果指標を把握できるほか、1つのビデオ広告素材でPCやスマートフォンなどのマルチスクリーンに配信できるのが特長だ。
ヤフーはVideologyの広告配信プラットフォームを基盤として、ウェブページを閲覧するユーザーの可視領域に入った際に、ビデオ広告が再生されるインリード広告を展開する。また今後は、テキスト中心だったYahoo! JAPANのコンテンツの映像化を進めることで、2014年度末までにビデオコンテンツとビデオ対応サービスをそれぞれ現在の10倍に拡大させ、マルチスクリーンで6000万人のユーザーを創出するとしている。
ヤフーでディスプレイ広告ユニットのユニットマネージャを務める高田徹氏は、ここ数年で映像コンテンツと親和性の高いスマートデバイスが急速に普及していることや、ビデオ広告の制作技術の進化などを背景として挙げ、「ついにテレビにも負けない高画質で訴求できる場が整った。そこでヤフーができることは(「Yahoo! JAPAN」のプラットフォームによって)視聴の機会を増やすこと。これを組み合わせれば、(売上高)1000億円の壁は簡単に超えられる」と自信を見せた。
さらに、ヤフーは子会社のGyaOとともにUstream Asiaとの業務提携に合意したことを発表。今後は、3社でビデオ広告ネットワークを構築するとともに、ビデオサービスやビデオ広告市場の拡大に向けた取り組みを進めていくとしている。
同日には、その他のマーケティングソリューションの新戦略も発表された。ヤフーでは、米BrightTagとともに複数のタグを一括管理できる「Yahoo!タグマネージャー」を提供しているが、同社と新たにプライベートDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を構築することを発表。ヤフーの保有するビッグデータと個々の広告主の有するあらゆるデータを統合管理できるソリューションで、2014年春に提供する。
また、広告主向けの広告配信プラットフォームであるDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)事業に参入することを発表。米ヤフーのプラットフォームを採用した「Yahoo!プレミアム DSP」を2014年1月から順次提供する。Yahoo!プレミアム DSPは、大型ディスプレイ広告であるプライムディスプレイを始めとするYahoo! JAPANの広告枠に配信できる唯一のDSPになるという。
さらに、ブレインパッドとともにデータサイエンティストによるコンサルティング事業の合弁会社を、2014年1月に設立することを発表。広告主のデータとYahoo! JAPANのデータを最大限活用するためのコンサルティングサービスを、専門のデータサイエンティストが提供するとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」