モバイルトラフィックを収益化する重点--オンライン広告管理大手のMarinに聞く

 全世界でオンライン広告プラットフォームを提供する米Marin Softwareが、2012年9月に日本支社を立ち上げてから1年が経った。これを記念して10月末に同社CMOのMatt Ackley氏が来日した。

 Ackley氏は、eBayでオンラインマーケティングやパブリッシャープラットフォームの設計開発を統括。また、GoogleでプロダクトマーケティングリードとしてDoubleClickやGoogleアナリティクス、YouTube広告のプラットフォームの技術統合に携わっていた人物だ。そこでAckley氏に、オンライン広告のトレンドや日本市場ならではの特徴について聞いた。

  • Marin Softwareの導入企業の一例

 2006年に米国で創業したMarin Softwareは、検索広告やディスプレイ広告、モバイル広告やソーシャルメディア広告などの入札やレポート、最適化のためのソフトウェア「Marin(マリン)」を提供している。使い勝手の良さが評価され、SymantecやSalesforce.com、GAPなどの大手企業でも採用されており、全世界での広告運用額は50億ドルを超える。近年は特にモバイルやソーシャルメディア広告が急成長しているという。

 米国以外では、イギリスやフランス、ドイツ、シンガポール、オーストラリアなどにも拠点を構えている。グローバルでの売上げは、米国、イギリスに続き、日本が3番目に高いという。また、日本ではアイレップやオプトなどがMarinを利用しているが、広告運用額が前年比250%にのぼるなど、他国と比べても高い成長率を示しているという。

 来日に際し日本のユーザー企業と意見交換をしたというAckley氏は、将来の入札レートを予想できる数式モデルを構築したことで費用対効果が向上した日本企業の事例を紹介し、「私たちの発想にはなかったような素晴らしい使い方をされている企業もある。米国に逆輸入してソリューションの使い方を再導入したいくらいだ」と、日本市場を高く評価する。

モバイル広告で収益化するには?

 スマートフォンやタブレットの普及によって、モバイル端末からのサイトやサービスへのアクセスは急増している。その一方で、それらのトラフィックの収益化に苦戦している広告主も少なくない。この点についてAckley氏は、グーグルやヤフーがスマートデバイスに対応するためのキャンペーン機能(エンハンストキャンペーンやユニファイドキャンペーン)をリスティング広告に追加したことで、かえって運用が複雑化してしまった側面があると指摘。

  • 米Marin Software CMOのMatt Ackley氏

 また、モバイルに最適化されていない広告を展開していることで購買の機会を逃している広告主も多いと語る。そのため、広告主は(1)モバイルユーザーにとってより満足度の高い広告を用意し、(2)購入された商品の各々のセグメントでどうすれば購買につながるかを理解し、(3)広告のどの段階で購買につながったのかをアトリビューション(要因分析)することが重要だと説く。

 Ackley氏は、今後のオンライン広告業界全体やMarinとして、2つのことを実現しなければならないと語る。1つ目は、検索、ディスプレイ、ソーシャル、テレビCMなど、企業内でも縦割りで運用されていることが多いそれぞれのメディアを、双方で連携して統合的に管理できるようにすることだ。

 2つ目が、広告においてどのチャネルの効果が高かったのかをデータドリブンな形で把握できるようにすることだ。たとえば、ある商品が売れたとしても、購入者はテレビCMを見て、Facebook広告に「いいね!」を押し、スマートフォンで検索して購入するなど、ひとつのチャネルで完結していないこともある。「どのチャネルが何割くらい貢献したのかを正確に把握することが重要だ」(Ackley氏)。

 Ackley氏は、この2点が「広告主のビジョンだ」と語り、これらをMarinで実現するための投資や開発を日々進めていると説明。10月には広告主や代理店と連携して先進的な広告ソリューションを開発する専門組織「Marin Labs(マリンラボ)」も立ち上げた。また、急成長する日本を重要な市場と位置づけ、米国での新機能やサービスをいち早く導入していきたいとした。

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