別次元に踏み出した“プレミアム2K”テレビ「REGZA Z8」--麻倉怜士氏レビュー - (page 3)

麻倉怜士 文:大谷隆之2013年11月26日 11時00分

REGZA史上トップレベルを誇る“サウンド”

  • ラビリンスバスレフ型BOXを採用したスピーカ部

 テレビの音質については、私はこれまで何度も苦言を呈してきた。映像コンテンツの感動は、一般の人が想像するよりはるかに多く、実はサウンドに左右される。だが、昨今の家電メーカーは薄型化にこだわりすぎ、テレビスピーカを蔑ろにしている、と。その意味で今回Z8シリーズは、健闘していると言えるだろう。理想を言えばきりがないが、今までのREGZAでは得られなかったサウンドに仕上がっている。

 サウンドに触れてすぐ気付くのは、全体的な音圧やエネルギー感が前モデルよりパワーアップしていることだ。とりわけ低音の伸びが良くなった。狭いスペース内でも迷路のような構造で低域を増強できる「ラビリンスバスレフ型BOX」など新しい工夫も盛り込まれているが、同時にアンプやユニットなど基本的なパーツを1つひとつ見直して、全体のパワーアップを図った効果であろう。

 スピーカの音圧が上がったのは、絵づくりでメタファーすると輝度アップしているのと同義だ。音作りのリソースが増えたことで、表現力が豊かになってくる。実際Z8の音は比較的自然な仕上がりになった。低音もあまり薄くなく、人の声も明瞭に聞きとれる。このように、まず全体的なポテンシャルを上げておき、その上で個別の機能を高めていくやり方は、今回の絵づくりのアプローチにも通じている。帯域の狭さからくるストレスが薄れたことを評価したい。

テレビの価値を100倍にする全録「タイムシフトマシン」

  • 専門性の高いチャンネルの全録再生時に便利な「ざんまいプレイプラス1」

 ここまで画質・音質にフォーカスして検証してきたが、Z8の魅力はそれだけではない。例えば、地デジ最大6チャンネル、80時間分(※1)まるごと録画できる「タイムシフトマシン」。「Z」シリーズの看板ともいえる、いわゆる“全録”機能だ。

 私自身もユーザーだが、この便利さ、快適さは一度使ってしまうと手放せない。わざわざ録画予約をしなくても、3日以内の番組はいつでも再生できるし、リモコンの「始めにジャンプ」ボタンを押せば、点けたとき放送している番組を冒頭から見られるのはとても便利だ。夜10時20分の帰宅ならテレビ朝日の「報道ステーション」がボタン1つですぐ映し出される。これはものすごく良い。

 東芝が「CELL REGZA」の時代から提案してきた機能だが、私はテレビの価値が100倍は違ってくると思う。「タイムシフトマシン」に録画された番組からユーザー好みのコンテンツを自動で薦めてくれる「ざんまいプレイ」と組み合わせれば、使い勝手はもっと広がる。これは実感だ。

 さらに今回Z8では、地デジ6チャンネルに加えてBS・110度CS放送からも1チャンネル、合計7チャンネルをまるごと録画できる(※2)ようになった。BS・CSには趣味性の高いコンテンツが多いので、チャンネル拡張はユーザーにとってメリットが大きい。7チャンネルすべて地上デジタルに当てることも可能。例えば、これまでNHKの「Eテレ」を外していた人にとっては、選択肢が広がるはずだ。ちなみにCSの専門チャンネルを観ているときに「ざんまいプレイ」ボタンを押すと、例えばスポーツ専門チャンネルの場合なら「野球/サッカー/ゴルフ…」などとそのジャンル内がさらに細分化され、探したい番組に簡単に辿りつける。こういうかゆいところに手が届く商品企画も、いかにもREGZAらしい。

 高画質と便利な使い勝手。2つを両立させることで、これまで「REGZA」は新しいテレビ体験を提案してきた。最新のZ8シリーズは、今までのREGZA以上の“価値”をもたらしてくれる。。Z8シリーズは、フルHDとしてハイエンドモデルだが、次回はこのテクノロジを4K×2Kテレビにぜひ入れて欲しい。

※1:タイムシフトマシン対応USB HDD「THD-450T1」使用の場合。
※2:タイムシフトマシン対応USB HDD(別売)に加え、USBハブとタイムシフトプラス1用USB HDD(いずれも別売)が必要。

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