別次元に踏み出した“プレミアム2K”テレビ「REGZA Z8」--麻倉怜士氏レビュー

レビュー:麻倉怜士 文:大谷隆之2013年11月26日 11時00分
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 東芝が“プレミアム2K”を掲げ開発した液晶テレビ「REGZA Z8」シリーズは、画質、音質、機能面において今までの2Kテレビとは一線を画す仕上がりとなった。4Kテレビへの注目が集まる中“あえて2K”にこだわって開発されたZ8の実力を、オーディオ・ビジュアル評論家の麻倉怜士氏が徹底レビューする。

  • オーディオ・ビジュアル評論家の麻倉怜士氏

映像表現の要となる色“赤”の群を抜く再現力

 鮮烈で、輝かしく、しかも自然な陰影もしっかりと保った、従来の液晶では見たことのない色彩──。REGZAの新しい最上位モデル「Z8」シリーズの特徴を私なりに語るなら、こうなるだろうか。忠実な色再現というといかにも使い古された宣伝文句のようだが、本機に関してはやはりこの常套句を使わざるをえない。今回視聴したZ8の色の表現力は、刮目であった。

 透明感と深みを兼ね備えた青──例えば、陽光にきらめく海の映像なども素晴らしいのだが、私自身が特筆したいのは艶やかな赤だ。これまでの液晶テレビの赤というのは、どこかオレンジがかっていて、私たちが「真紅」という言葉からイメージするヴィヴィッドさに欠けていた。しかしZ8の赤は全く違う。独特の光沢、濡れたようなツヤを感じさせ、観る人のエモーションに訴えかける力がある。赤というのは、映像表現の要となる色であり、インパクトは大きい。

 カギを握っているのは、「ダイレクトピュアカラーパネル」。今回新たに採用された、直下型LEDバックライト方式の液晶パネルだ。東芝の自社開発バックライトパネルで、従来の「Z7」シリーズに比べて輝度とダイナミックコントラストが約75%、色域が約14%アップしている。本稿ではその効果を詳しく見ていきたいが、まずその前に液晶テレビ全体のトレンドとZ8シリーズの位置付けについて簡単に触れておこう。

“あえて2K”にこだわった東芝の明確な方針

  • 液晶テレビ「REGZA Z8」シリーズ

 現在、液晶テレビにおけるメガトレンドが4Kだ。各社とも大型サイズでは、主力を従来のフルHD(2K)から4倍の解像度を持つ4Kモデルへとシフトさせ、好調な売れ行きを見せている。一方、今回視聴したZ8は、画素数的には2Kモデル。あるいは読者の中には、「4Kがこれだけトレンドになっている今、なぜ最上位のシリーズであえて2Kなのか?」と疑問に思った人もいるかもしれない。だがここには、東芝の明確な方針が読みとれる。

 4Kパネルが真価を発揮するのは、何と言っても大画面。とりわけ60インチ前後のサイズになると、従来のフルHDパネルでは画素の粗さが目立ち始めるため、買い換え時の満足度は高くなる。ただし55インチ以下になるとまた話が別で、実際にはフルHDでも3H視聴では画素のギザギザが気になる心配はあまりない。そうであれば4Kパネルを当面採用せず、2Kの領域でさらに高画質化を追究するという戦略も、ビジネスとしては成り立つ。

 55V、47V、42Vという3サイズで展開するZ8シリーズは、この方針のものだ。すなわち58インチ以上の大画面カテゴリでは4Kモデルを主力にし、一般的なリビングテレビとしてもっとも需要の高い55~42インチでは、より骨太なフルHDテレビを引き続き提供していく──。東芝は「プレミアム2K」と呼び、今回そのメインフィーチャーとなったのがZ8の色再現性であった。世の中の関心が4Kに集中し、市場全体を見渡して55~42インチのラインアップがやや手薄になっている現状を見ると、これは確かに正解な考え方と言えよう。

  • 独特の光沢、濡れたようなツヤを感じさせる赤を表現する

 さらにもう1つ。今後は「高解像度化(2Kから4K)」だけでなく「広色域化」も液晶テレビの重要なトレンドになることも指摘しなければならない。詳しくは後述するが、ハイビジョン映像に採用されている「BT.709」という色再現の標準規格の色再生範囲は狭い。人間の目はもちろんビデオカメラで撮影した色も一定の範囲しか表示できない。カメラの色範囲が広くても、BT.709の範囲に圧縮しなければならない。そこで失われた色の情報をテレビ側で復元し、よりオリジナルに近い色合いで表示する工程が求められる。今回Z8シリーズは新開発のパネルにて、まさにその作業を行う。

 また今後、「UHDTV:超高精細テレビ」と呼ばれる次世代放送も本格化していく。2014年には「4K UHDTV」、2016年には「8K UHDTV」がそれぞれスタートする予定だ。このような新しいサービスでは、現行ハイビジョンに比べて解像度だけでなく、色域拡大される。そう考えれば、色の再現性にとことんこだわることは、今のニーズだけでなく、将来への準備でもあり、Z8シリーズはそれを見据えていることが伺える。

 ちなみに東芝では、4Kの印として、型番の最後に「X」を入れている。すでに発売されている4Kテレビ「Z8X」シリーズ(84V、65V、58V)と今回のZ8シリーズは、パネルの解像度こそ違えど、あくまで「Z」という同一カテゴリ。「最高画質のフラッグシップモデル」という位置付けとなる。

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