Googleは米国時間10月31日、同社モバイルOSの次期バージョン「Android 4.4」(開発コード名「KitKat」)のすべての詳細を遂に明らかにした。しかし、KitKatはモバイルOSの性能競争を進展させる派手な新機能を多数提供するものではない。KitKatが約束していることの中で最も注目に値するのは、長らく問題となっているAndroidの断片化を実際に解消することだ。
GoogleのAndroid担当チーフのSundar Pichai氏は、KitKatはあらゆるスマートフォンで動作する1つのAndroidバージョンになると述べている。Googleの目標は、Androidを次の10億人のユーザーに提供することだ。その目標を達成する手段として、KitKatのメモリ使用量を過去のAndroidバージョンより少なくしている。
また、Android 4.4は「美しい没入体験」を提供し、Googleの各種サービスをデバイスのあらゆるところで利用できるようにする(これについては後で詳しく説明する)。KitKatが初搭載されるのは、以前からうわさになっていた「Nexus 5」スマートフォンだ。Googleは31日、サンフランシスコで開催した小規模な記者会見で同スマートフォンを披露している。
KitKatをあらゆるAndroidデバイスで利用可能にすることは、同OSの最も野心的で、最も高潔な目標だ。確かに、熱心なAndroidファンでさえ、Androidがかなり前から非常に細かく断片化されているということは認めざるを得ない。
Nexusスマートフォンや、サムスンの「GALAXY S4」などのハイエンドデバイスは、真っ先にアップデートを受け取れることが多いが、ローエンドの携帯端末では1つのAndroidバージョン(多くの場合「Gingerbread」)がずっと使用され、それが唯一のバージョンとなる傾向が強い。今回の変更を促しているのは、そうしたエントリーレベルのデバイスだ(Pichai氏によると、新興市場におけるAndroidの成長率は先進国市場の3倍だという)。
Googleはデバイスメーカーに対し、KitKatを唯一のAndroidバージョンとして出荷するという選択肢を2014年までに提供する見通しだ。Pichai氏によると、その狙いは最新バージョンのAndroidを搭載したデバイスを販売し、それらのデバイスのAndroidを常に最新のバージョンに保つことだという。
では、Googleはどのようにしてそれを実現するのだろうか。従来のAndroidのアップグレードには旧バージョンより多くのメモリが必要だった(ローエンドデバイスではこれが障害となることが多い)が、KitKatはメモリ使用量を「Jelly Bean」より16%減らすことで、そうしたモデルを変えようとしている。さらに、パフォーマンス面でも、KitKatはピクセル使用効率を12.9%高めている。
これらはすべて大きな期待を抱かせるものだが、GoogleがOEMに対して、すべての新型携帯端末にKitKatを搭載して出荷するよう圧力をかけることが可能だとしても、同社が実際にそうするかどうかは不明だ。また、既にユーザーの手元にある既存の携帯端末にアップデートが提供されるという保証もない。通信キャリアや、サムスンの「TouchWiz」のような特徴的なAndroidスキンが関わっている場合、話は少しややこしくなる。したがって、これらすべてが今後どのような展開を見せるのか興味深い。
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