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まどマギ、バイオ、エヴァ--札幌で疾走する“痛タクシー”の仕掛け人が語る「大人の本気」

佐藤和也 (編集部)2013年11月02日 12時00分
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 北海道・札幌市の街中を行き交う車の中で、車体にアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」(まどマギ)のヒロイン・鹿目まどかや、登場する魔法少女たちを描いたラッピングカーが走行しているのをご存じだろうか。車体の一部ではなくフルラッピング仕様で走るこの車、実は自家用車ではなくタクシーだ。

 このタクシーは全国5都市で開催されている「魔法少女まどか☆マギカ」複製原画展で、メディア・マジックが主催する札幌開催(11月8日~11日)とのコラボレーション企画。10月より運行を開始し、11月までの2カ月間の運行予定としている。車体には複製原画展の告知のほか、公開中の「劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語」としてのイラストもあしらわれている。

大きく描かれた鹿目まどかとキュゥべえが目を引く、まどマギのアートタクシー
大きく描かれた鹿目まどかとキュゥべえが目を引く、まどマギのアートタクシー。複製原画展の告知が入っている
  • 反対側は、劇場版の告知。新キャラクターの百江なぎさもあしらわれている

  • トランク部分。後部座席にはグッズも置かれている

  • ボンネット部分にも、複製原画展の告知が記されている

 かわいい女の子のイラストを車体に大きく描いた車は、俗に“痛車”と呼ばれているが、札幌市にある長栄交通では、痛車ならぬ“痛タクシー”を運行している。現在はまどマギのアートタクシーだけではなく、初音ミクのキャラクターデザインで知られるKEIさんがイラストを担当し、北海道育成アイドルとしてデビューを目指していた「北乃カムイ」のタクシーを運行している。

北乃カムイをあしらった痛タクシー。側面のイラストは公募によるもの。上部まで含めたフルラッピングの車体だ
北乃カムイをあしらった痛タクシー。側面のイラストは公募によるもの。上部までデザインされたフルラッピングの車体だ

 そしてこれまでも、さまざまな題材で展開している。洞爺湖で行われているイベント「TOYAKOマンガ・アニメフェスタ」のマスコットキャラクターをあしらった痛タクシーから始まり、北海道を代表する小果実のハスカップ、アロニア、シーベリーをキャラクター化した「リトルベリーズ」のイベントとコラボして制作。さらに、北海道外のコンテンツにも目を向け、カプコンの「バイオハザード6」の発売にあわせてアートタクシーを展開。そしてたまたまそのアートタクシーを見てTwitterにアップしていた札幌出身の歌手・藍井エイルさんとも交流が生まれ、キャラクターではない実際の人物をあしらったアートタクシーも制作した。

 ほかにも「エヴァンゲリオン展 札幌」とコラボしたエヴァタクシー、ハートビットが展開する北海道のアンデッド系ご当地アイドル「フランチェスカ」、 ミュージックフェス「JOIN ALIVE2013」、 北海道在住でテレビアニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」や「魔法少女まどか☆マギカ」の主題歌を歌う2人組ユニット「ClariS」 と、次々に痛タクシーやアートタクシーを展開。すでに1年以上前から取り組んで走行しているため、新作のたびにネットで話題となったり、札幌市内においても珍しい光景ではなくなりつつあるという。

  • 「バイオハザード6」のアートタクシー。3台を運行した

  • エヴァタクシーは、キャラクター別に5台を運行

  • アニメ「ソードアート・オンライン」の主題歌や「Fate/Zero」エンディング曲を歌った、藍井エイルさんのアートタクシーも

 広告物の掲出として、タクシーの車体の一部にステッカーやラッピングを施す例はある。また、キャラクターのイラストが入ったタクシーの運行も過去にはあったが、フルラッピング仕様としたのは全国でも珍しい。さらに理由は後述するが、厳密には広告ではなく、広告料や版権料のやりとりを行わない、つまりフリーメディアとしているからこそできる痛タクシーであり、知名度や稼働率の向上だけではない効果もあったという。そしてそこには、道内のクリエイターを支援したいという、仕掛け人の思いも隠されていた。

 これらの取り組みに対し、1人で奔走しているという「札幌痛タク実行委員会」の中の人、長栄交通営業企画課長の竹内紀仁氏に話を聞いた。

--タクシーをフルラッピングしようと思ったきっかけはなんでしょうか。

  • 長栄交通営業企画課長の竹内紀仁氏

 なかなか表には見えにくいかもしれませんが、タクシーというのは突発的なことがなければ、利用シーンや利用者はほとんど変わらないんです。またタクシーを利用する場合、会社を選ぶこともありますが、特定のことがない限り個別のタクシーを選ぶということはないですし、サービスの充実といってもなかなか表には見えません。そうなると価格競争ということになってしまいます。それにタクシー業界というのは旧態依然としている雰囲気が強いんです。

 こういう現状を打破したいという気持ちもありましたし、客層の掘り起こしとして若年層に注目してもらって、利用する機会を増やしたいという考えがありました。

--最初に作られたのが、2012年に開催した「TOYAKOマンガ・アニメフェスタ」となってます。

 実行委員会の方々とお話しているなかで、街中まるまるコスプレ会場にしているのが珍しいと感じていましたし、もっと認知度を上げたいという話もあって、ここでフルラッピングの痛タクシーを制作すれば、話題性も出てイベントの認知度向上にも一役買えるかと思ったんです。なので、応援という形でこのときはこちらで費用を持って制作したんです。

 来場者数は2010年は3000人、2011年は7000人ときて、痛タクシーが参加した2012年には3万人となりました。2013年は参加しなかったのですが、4万9000人とさらに増加しました。もちろん実行委員会の尽力が大きいと思いますが、痛タクシーもニュースなどで取り上げられましたし、それを通じてイベントを知ったという方もたくさんいらっしゃったようです。さらに痛車もイベントの目玉となったこともあり、一定の貢献はできたのかなと思います。2014年の開催も決まっていますし、何かやりたいとは思います。

--ただ、フルラッピングだと数十万、下手したらそれ以上の費用がかかるかと思います。

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