組織の透明力

ブラック企業が経済的に非合理な4つの理由 - (page 3)

斉藤徹(ループス・コミュニケーションズ)2013年09月11日 11時45分

3.社員生産性の低下

 ブラック企業におけるマネジメントの特徴は、社員を心のないものとして扱う過度な統制志向にある。特に問題なのは「精神的に追い詰めるマネジメント」が常習化し、過度の統制を当たり前に感じる雰囲気が出来上がること。この状態はマインドコントロールに近く、言いようのない閉塞感と諦めが漂うようになる。次第に理不尽さを強要する文化が定着し、社員が相互にワークライフバランスを崩しあう蟻地獄に陥ってしまう。

 しかしながら心理学の研究がすすみ、社員を精神的に追い詰める手法は、労働生産性にマイナスとなることが明らかになった。社員の幸福感が、業務の生産性や創造性と強い比例関係にあることが分かってきたのだ。例えば、ポジティブ心理学の研究(*3)によると、幸福感の高い社員の生産性は平均で31%、売り上げへの貢献は37%、創造性は300%向上するという調査結果が出ている。社員の幸せと仕事の生産性は決して無関係ではないのだ。

 さらに心理学の研究(*4)から、ブラック企業における典型的な統制方法である「アメとムチ」は、試行錯誤しながら解決策を考えるタイプの仕事にはマイナスに作用することがわかってきた。ブラック企業における理想の組織像は「社員が経営者の思い通りに手足のごとく動く」ことだが、それは流れ作業のような単純な仕事しかなかった100年前の古びた発想だ。

 ブラック企業が多いとされるサービス産業においても例外ではない。今や国内のサービス産業は成熟化しており、顧客がお金を出す判断基準は、品質や価格、納期などの「機能価値」から、顧客経験で得られる心理的な「情緒価値」にシフトしつつある。情緒価値を提供するためには現場社員の創意工夫がキーとなるが、それには「アメとムチ」による統制がマイナスに働いてしまう。今、サービス業は、規律から自律へとマネジメントスタイルの変革が求められているのだ。この点は前記事「社員が自ら動き出す組織のつくり方 」で詳しく書いたので参考にしてほしい。

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