(編集部注:米CNETによる「Moto X」のレビューを前編と後編の2回に分けて翻訳して公開します。後編は8月27日の公開を予定しています)
歯に衣着せずに述べると、Motorolaは今までサムスンの「GALAXY S4」やHTCの「HTC One」と肩を並べられるような本当の高機能スマートフォンを打ち出してきたことがなかった。しかし同社は「Moto X」というスマートフォンで新たな道を切り開こうとしている。199.99ドルのこの製品は、Motorolaが親会社(そして「Android」の生みの親)であるGoogleの協力を得て一から開発した初めての携帯電話だ。なお米国では、ほとんどの大手通信事業者が8月後半からMoto Xを提供する予定になっている。
誤解のないよう書いておくと、Moto Xは仕様レベルの比較で競合製品を打ち負かせるような超高性能スマートフォンではない。ディスプレイに最先端技術を採用しているわけではなく、ストレージの拡張も行えない。ストレージはこの製品の最大の弱点だ。199.99ドルのモデルのストレージ容量は16Gバイト(32GバイトのMoto Xは50ドル高くなる)であり、容量を増やすためのSDカードスロットは搭載されていない。このため、HTC One(デフォルトで32Gバイト)やGALAXY S4(拡張スロットが搭載されている)との戦いは苦しいものになるだろう。
ストレージ容量に不満がある点を除けば、Moto Xは一般ユーザー向けの先進的機能を搭載した、小回りのきくコンパクトな携帯電話となっている。Moto XはVerizonから提供されているMotorolaの「Droid」シリーズの最新3機種が大々的にうたっている数多くの機能(特筆すべきは「Google Now」の音声制御をいつでも使用できるという機能だ)のほか、いくつかのおしゃれな機能も搭載している。さらに、これらの機能は使い心地を最大限に高めるために、カスタマイズ性の高いデザインの本体に詰め込まれている。これはライバルの製品群と戦っていけるだけの芯の強いスマートフォンだと言える。
Verizonが数年前から提供しているDroidという重装備のスマートフォンブランドに代表されるように、Motorola製スマートフォンのデザインはこれまで、とても工業的なものだった。Motorolaは、Droid携帯を初めて市場に投入して以来、ケブラー繊維素材でコーティングし、アクセントとして側面をメタリックで仕上げた、がっしりしたデバイスを主力携帯として世に送り出してきている。
とは言うものの、そのこと自体に問題はない。こういったデバイスは高い人気を誇ってきている。さらに、同社の次世代Droid携帯は以前のものに比べると無機質な感じが低減され、メタリックなアクセントがなくなるとともに、より丸みを帯びた形状となっている。しかし、「Droid Mini」と「Droid Ultra」「Droid Maxx」という3つのデバイスはすべて、威圧的なロボットを思い起こさせるようなVerizonの製品群と歩調を合わせて今まで通り、けばけばしいレッド、あるいは地味なブラックを基調としている。
しかし、同社はMoto Xでこうした過去と決別し、より幅広い顧客層に向けてアピールしていくという新たな道に進もうとしている。Moto Xの本体は、きっちりとした直線ではなく、柔らかい曲線で構成されている。そして、電話の背面も穏やかな丸みを帯びており、手になじみやすくなっている。これは、HTCのHTC Oneや「HTC One mini」を見れば分かるように、多くのハードウェアメーカーが今日採用しているアプローチである。人気のGALAXY S4も同様に丸みを帯びているものの、その滑りやすく、汚れやすい本体表面とは異なり、Moto Xはテクスチャの付いた柔らかい手触りの仕上げとなっている。
Motorolaは、こういった曲線的なデザインをさらに推し進め、背面部における左右のエッジの傾斜角を本体中央部よりも大きくしている。同社は、単純な曲面にするよりもこのような入念な成型の方が手になじむと主張している。また、このユニークな湾曲形状に合うよう、バッテリも特殊な形状のものを採用している(なお、組み込みバッテリの容量は2200mAhとなっている)。
Moto Xを手に取ってみると、丸みを帯びた本体がまるで手袋のようにぴったりと手にフィットし、極めて快適であると感じた。HTC Oneを手に取った際にも似たような感想を抱いたのだが、Moto Xの湾曲形状としっかりした本体からも品質の高さと気品の高さがにじみ出ていた。また、ソフトな背面は湿気や指紋がつきにくいうえ、まるで金属のような頑丈さを備えているという点にも好感を持った。
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