「Moto X」は「iPhone 5」の対極に位置する製品かもしれない。
良くも悪くも、米国時間8月1日に発表されたMoto Xは、あらゆる点で「iPhone」と対照的だ。Appleが外観や質感を厳格に管理しているのに対して、Motorolaは顧客がカラーや材質をカスタマイズできるようにしている。Moto Xは最新スペックの代わりに、手堅いところではあるが最先端とは言えないハードウェア機能セットを採用している。また、1つのデバイスのために構築されたプロプライエタリなOSではなく、ほかの多くの携帯電話も利用可能なオープンプラットフォーム上で動作する。
IDCのアナリストであるRamon Llamas氏は、「これはMotorolaとGoogleが向かおうとしているところを示す青写真だ」と述べた。
Moto XはiPhoneの対抗機種と見なすことは可能だが、「iPhoneキラー」ではない。ここ数年、iPhoneキラーという根拠のない称号が用いられてきたが、iPhoneはどのデバイスにも倒されていないし、Moto Xもそれを成し遂げる幸運な携帯電話にはならないだろう。
しかし、Moto XはAppleとGoogleの対照的な哲学を明確に示している。Appleが単一の体験と洗練された製品を目指しているのに対して、Googleはさまざまなものを壁に投げつけて、それらがどこにくっつくのかを見ようとする。GoogleとMotorolaは、Moto Xで消費者により大きな管理権を譲渡している。消費者がそうした管理権を求めているのかどうかは、現時点では分からない。
それとは関係なく、Moto Xに対する関心は非常に高く、1日にニューヨークで開催されたイベントでの製品発表前から関心を集めていた。何カ月にもわたって期待をそそる情報やリーク情報が流れた後、Motorolaは消費者がデバイスの背面、縁、壁紙をカスタマイズできることを認めた。同社は背面カバー用に木や竹などのさまざまな材質のテストまで行っている。
「非常に魅力的な要素だ。携帯電話を見るとき、最初に目が行くのはハードウェアと見た目の美しさだ」(Llamas氏)
Moto Xの成否は、AppleとGoogleの哲学のどちらが正しいのかを判断する大きな材料になるだろう。AppleがiPhoneの心地よい体験を実現するために採用している極めて厳格な方策を批評家は非難するが、iPhoneシリーズは同社の大ヒット製品であり続けている。逆に、人々は自分の好きな色で飾られたデバイスのためなら、最先端のスペックを犠牲にしても構わないと考えるだろうか。
ただ1つ確かなのは、Moto Xがスマートフォンに対する全く新しい解釈を示しているということだ。これまで業界は、大画面や高速プロセッサ、ユニークな機能に力を入れてきた。しかし、全体的に見て、そうしたデバイスでは「買いたい人だけが買えばいい」というアプローチが採用されるのが普通だ。iPhoneと同様に、サムスン電子も単一の旗艦製品「GALAXY S4」を提供しており、HTCも「HTC One」を販売している。
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