Bill Gates氏は二元的にものを考える傾向がある。同氏は、1と0を、非常に多くの人々が使うMicrosoftのソフトウェアに変えることに数十年間を費やした。今でも同社の会長を務めているGates氏は、2008年以降は自分の時間の大半をBill & Melinda Gates Foundationに割いており、特に厄介な世界的問題のいくつかを解決しようとしている。同氏は今でも二元的思考を用いて、混乱した世界を裕福な国と貧困国のレンズを通して見ながら、貧しい人々の生活を向上させるために裕福な人々と協力して取り組んでいる。
米国時間7月15日にMicrosoftのFaculty Summitで講演したGates氏は、会場に集まった研究者たちから、Gates Foundationでの仕事やそのほかの話題についての質問を受けた。以下ではイベントの内容の一部とともに講演全体の動画を紹介する。
Gates Foundationは教育分野に投資しており、米国のような豊かな国もその対象になっている。同氏はKhan Academyのような大規模公開オンライン授業(MOOC)など、指導と学習の個別化やゲーム化、定量化を行うデジタルツールの熱心な支持者であり、資金提供者である。そうしたデジタルツールは「裕福な」国の中で最も高い中退率に悩む米国を含めて、世界中に広がる教育危機を解決するのに役立つ手段とされている。
同氏は教育機関の側が、例えば大講義室などをどのように変えていく必要があるかということについて議論した。「誰かの前にカメラが固定してあって、学生たちは黙って聞くだけというのでは、必要とされていることに応えていない」とGates氏は言った。大講義室でのレクチャーは、特定の情報を伝えることを極めて得意とするロックスターのような講師と、学生のためにより豊かな経験を編集したり生み出したりする予算によって、録音された音楽のようになっていくだろう。
「海洋学や気象学、ゲーム理論や結び目理論について学びたければ、24時間後にはそうした話題に詳しくなっており、自分の知識をテストできる。そこには多くの本格的なイノベーションが関わってくるだろう。物事を単純化したいという衝動は非常に大きいとはいえ、そこから何か深遠なことが始まっていく」(Gates氏)
Gates氏は、教育が制約のないメニューのように扱われるべきだとは考えていない。同氏は大学生の年代である自分の娘が訪れた大学のいくつかは、学生が自分の専攻を設計できるようになっていて、必修のコースを設けていないことについて言及した。同氏は「深く理解すべきことについての科目が1つか2つなくてはならないとわたしは固く信じている。当然ながら、機械語の知識は誰にでも必須だ」と冗談を交えて語った。
教育におけるウェアラブル端末の役割について質問されると、鋭敏なGates氏も少し考える必要があった。
「カンニングに使えるかもしれない」と同氏は言った。「『ウェアラブル』メガネというのは、目の前に映像を表示させるメガネだが、それはテストの時に学生が緊張しているかどうかを測定するツールのようなものだ。ウェアラブルというのは非常に格好いいが、教育とは結びつけることはあまりできない」(Gates氏)
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