瀧田代表が明かす「Firefox OS」誕生秘話--Interop Tokyo 2013

 幕張メッセで開催中のネットワーク技術の展示会「Interop Tokyo 2013」の併設イベント「スマートデバイスジャパン 2013」。初日となる6月12日には、「モバイル界に真のオープンを ~Firefox OS がもたらすもの~」と題する講演が開催され、Mozilla Japanの代表理事である瀧田佐登子氏が登壇。スマートフォンの“第3のOS”として注目を集めるFirefox OSを投入する背景や、今後の目指す世界について語った。

スマホ市場はかつてのブラウザ市場に似ている

 瀧田氏は、iOSやAndroidが携帯電話のあり方を大きく変え、現在のスマートフォン市場の拡大に貢献したと語る。一方で、そうした状況にありながらも新たなOSに注目が集まっており、2月にスペインで開催されたMobile World CongressでFirefox OSを発表した際も、多くのパートナー企業が集まるなど盛り上がりを見せたと説明。その要因を理解するには、Mozillaという組織を理解する必要があると語る。

  • Firefox OSの開発機を掲げるMozilla Japan代表理事の瀧田佐登子氏

 Mozillaは1998年、Netscapeのウェブブラウザ技術をオープンソース化する際に設立された非営利の組織であり、インターネットをより良い世界にして、ウェブ体験をすべての人にもたらすことを使命に掲げて活動しているという。活動を支えているのは志をともにするボランティアであり、活動内容もすべてオープンにしているとのことだ。

 Mozillaがウェブブラウザ「Mozilla Firefox」の提供を開始したころ、ウェブブラウザ市場はマイクロソフトのInternet Explorerが席巻していた。それゆえ当時は、いまさらウェブ技術に取り組むことに対し疑問の目が向けられていたと、瀧田氏は振り返る。しかし、Firefoxの登場によって、進化が止まっていたウェブ技術に革新が起き、結果としてHTML5が誕生。さまざまな企業や業種の人々がHTML5を活用した製品を開発するなど、大きなパラダイムシフトが起きたと説明する。

 瀧田氏は、アップルとグーグルの2社がけん引している現在のスマートフォン市場が、Internet Explorerが席巻していたころのウェブ市場に似ており、独占によるさまざまな問題が起きていると危惧。そこでHTML5を軸としたパラダイムシフトを起こし、プロプライエタリー(独占的)からオープンへの流れをもたらす存在が、Firefox OSなのだとしている。

  • Mozillaは非営利団体として活動しており、ネットをより良い世界に、ウェブの体験をすべての人にもたらすことを使命としている

  • Mozillaの取り組みを木に例えて説明。Firefoxなどの取り組みが、HTML5を生み出すなど新たな革新を生み出したとしている

  • Firefox OSは独自のアプリマーケット以外のマーケットも用意できるなど、オープン性の高いプラットフォームであることが大きな特徴となる

 しかしながら、日本ではFirefox OSの特徴を説明しても、やはりクオリティ面で疑問符を付けられることが多かったという。そこでおよそ1年半の時間をかけてクオリティを向上させたことで、日本でもFirefox OSを本格始動するベースができたと、瀧田氏は語る。

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