Mozilla Japanは、5月29~31日まで開催中の「ワイヤレスジャパン2013」で、モバイルOS「Firefox OS」を搭載したスマートフォンを展示している。操作できるのは、すでに販売されている開発者向けスマートフォン「Peak」「Keon」と、参考出展の「Alcatel One Touch Fire」「ZTE Open」の4機種。ウェブ閲覧やカメラ撮影などの挙動をいち早く体験できる。
Firefox OSは、ホーム画面や電話帳アプリなど、スマートフォンのすべての機能をHTML5アプリとして開発して動作させられるオープンソースのモバイルOS。世界18の通信キャリアが同OSを採用したスマートフォンの取扱いを表明しており、夏には欧州や南米で販売が開始される予定。また、日本ではKDDIから発売される予定だ。
Firefox OSの最大の特徴は自由度の高さだ。すべてのコンテンツがウェブベースで作られるため、ネイティブアプリの開発経験がなくてもFirefox OS向けにサービスを提供できる。5月29日のセミナーで登壇したMozilla Japan マーケティングマネージャの小坂哲也氏は「(従来の)スマートフォンと同等の機能をウェブでも実現できる」と自信を見せる。
夏にも市場に投入されるスマートフォンにあわせて、独自マーケット「Firefox Marketplace」も公開する予定だ。通信キャリアやメーカーは、iOSやAndroidのようにプラットフォーム事業者を介さずに、直接ユーザーにサービスを提供できるほか、キャリア決済やアプリ内課金も可能としている。さらに、Firefox Marketplace内に自社ストアを構築することもできるという。
iOSアプリの開発者は約10万人、Androidアプリの開発者は約45万人いるとされているが、Firefox OSでは約800万人のHTML5開発者がアプリ提供者になりうると小坂氏は語る。「ケタ違いの数の技術者がウェブでアプリを開発できる。新たなエコシステムが生まれてくるプラットフォームになりうる」(小坂氏)。柔軟かつ安価にカスタマイズできることから、今後成長が見込まれる200ドル以下のローエンドモデルの市場でも存在感を発揮できるとした。
続いて登壇したMozilla Japan テクニカルマーケティング の浅井智也氏は、Firefox OSのセキュリティについて言及した。ネイティブアプリでも、電話帳や位置情報などプライバシーデータへアクセスする場合はインストール時にユーザーに許可を求めるが、「悪事を働くアプリはそもそも警告を出さない」(浅井氏)。そこで、Firefox OSでは、アプリの実行時にも警告を表示する仕様になっている。
「Firefox OSは、インストール時だけでなく実行時も確認できるプラットフォーム。ネイティブアプリとウェブを組み合わせるのではなく、ウェブのみで開発しプライバシーを考えた設計になっていれば安全。“ウェブだから危険”というのは誤解だと理解してほしい」(浅井氏)
またFirefox OSでは、Javaなどと比べてパフォーパンスが劣る、課金システムが標準化されていないといった、ウェブプラットフォームの抱えるあらゆる課題の解決に向けて尽力していると説明。さらに、スピーカーやバイブレーション、加速度センサーなど、すべてのハードウェアの機能をHTML5で実現することがミッションだと意気込んだ。
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