すべてのエンタメをネットで届ける「ひかりTV」--板東社長に聞く次の一手 - (page 3)

4Kは見せ筋、目指すのはサービス同士の融合

--サービスの幅を広げられる一方で、次世代テレビ放送4Kへの取り組みも発表されましたね。

 映像ビジネスについては、今後そんなに多くの選択肢があるわけではありません。私は大きく分けて2つだと思っていて、一つは4K8Kのように映像の精度を上げていくこと。もう一つは、放送型主流の映像配信から、ネット連携へと切り替わってくることです。

  • ひかりTVの現在とこれからの取り組み

 4K8Kについては、第4四半期(2014年1~3月)に4Kトライアルを開始する予定です。ただ映像の精度を上げることで売上や利益に直接つなげることは厳しいと見ています。では、なぜ取り組むのかというと、4Kが実用化された時にスムーズにサービスを始めるためです。

 4Kは単発で流す程度であれば問題ありませんが、かなり大きな帯域を使うので、これまでの方式による4K映像が増えてくると、既存のネットワークが混雑する状態になる可能性が出てきます。すでに次世代の映像コーデックHEVC/H.265が見えてきていますから、4KのIP配信は可能です。そうした将来も見据えて、4Kになってもきちんとした品質を担保して配信できる環境を作っておきたい。こうした高度な技術に早くから取り組むことで、見せ筋にもなると思います。

--映像配信から始まって、現在ではゲームも配信する。独自の進化を遂げられているようですが、競合企業はどのあたりですか。

 映像、音楽など個々の事業を見ればあると思いますが、個別に競争するよりもマルチプラットフォームでマルチサービスを展開し、マルチデバイスであらゆる機器に配信する、そういう仕組みを作ってサービスの幅を広げていくことが目標です。ですからトータルで見ると競合企業はありません。

 我々が今後目指すのはサービス同士の連携です。例えばVODで見ていた番組の中に登場した服がショッピングで購入できるなど、コンテンツ同士の連携を強化させていきたい。もちろん個々の競合企業に対して対抗はしますが、全く新しいサービスを開拓していきたいです。ひかりTVは映像配信の会社という位置づけですが、そろそろその括りには収まらなくなってきたと思っています。あえて言えば総合ライフエンターテインメントサービスですね。

  • 6月から提供開始されたスマートテレビ対応の新STB。Android OS 4.0を搭載する

会員獲得は第2フェーズへ、ライトユーザーなど新規開拓も

--映像配信を軸に伸長されてきた会員数ですが、サービスの拡大とともに、取り組み方も変わってきますか。

 ひかりTVの会員数はNTT東西のひかり回線純増数とリンクしながら伸びて来ました。しかし光回線は普及が一巡したこともあり、今までのようなやり方では、純増数はスローダウンしてくるでしょう。そこでこの夏からは、PC向け映像配信をスタートします。これは光回線を使わなくとも、ネットに接続されていれば利用できますから、新たな層を取り込んでいきます。

 一方6月からスタートしたひかりTVゲームも、新しいアプローチだと考えています。月額500円で30~50タイトルが好きなだけプレイできる仕組みなのですが、STBとセットで提供して、月額1000円程度のサービスです。ゲームユーザーはコンテンツの購入やアイテムの課金など、かなりお金を使っていますから、ゲームがきちんとそろっていれば、利用していただけるはずです。

--今後の展開を教えて下さい。

  • 「決して忘れてはならないのはユーザー目線」と板東氏

 ゲームまではある程度見えていたので、この次に何をやるかは現在一番大きな課題です。アイデアはたくさん出ていますがもう少しブラッシュアップしながら、タイミングを見計らって打ち出して行きたいと思います。

 一つ考えているのは、新たに法人を対象にしたサービスです。今までコンシューマー向けビジネスを展開してきましたが、ホテルなどへのニーズは、かなり潜在需要がありそうだと思っています。もう一つは顧客基盤ができたので、広告モデルを考えています。毎月ガイド誌を発行しているのですが、ユーザーの拡大とともにかなりの部数を配布しています。そこに向けた広告ビジネスにも取り組んでいきたいですね。

 こうした新たな取り組みを見据えつつ、決して忘れてはならないのがユーザー目線です。自分がユーザーだったら使いたい。常にその視点からサービスを立ち上げ、拡大していきたいと思っています。そのポイントを外すとやはりユーザーの方は使ってくれません。そのためにもユーザー満足度をどこまであげられるか。そこに対しては今後も全力でやっていきます。

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