NTTぷららは4月17日、動画配信サービス「ひかりTV」の現状と今後の事業展開について発表した。6月にAndroid OSを採用した新チューナを投入するほか、クラウドゲームサービス「ひかりTVゲーム」をスタートする。
代表取締役社長の板東浩二氏は「2013年3月末時点での会員数は245万人。テレビ、ビデオ、カラオケの3つでスタートしたサービスも、ミュージック、ブック、ショッピングを追加。対応端末もテレビだけではなくスマートフォン、タブレットとマルチデバイスで提供させていただくことができた。純増ベースでは45万人増と過去の伸び率に比べるとスローダウンしたように見えるが、このペースを維持しながら今後も伸ばしていきたい」と現状を説明した。
坂東氏は会員数増加の要因を、ビデオと放送という2つのサービスを提供し、なおかつ85%という高いHD化率を実現している点が支持されていると分析。加えて、MM総研「映像配信サービスAWARD」3年連続受賞や、RBBTODAY「ブロードバンドアワード2012」2部門受賞などの受賞歴は、ショッピング、ブック、ミュージックと新サービスを極力早く提供している点、そうしたサービスの操作性を改善し続けている点が高評価につながったのではないかと話した。
同社ではひかりTVのスタート時から事業展開を「STEP1:100万会員獲得による顧客基盤の確立」「STEP2:新たなVODマーケットの構築」「STEP3:マルチデバイスの確立+音楽、ゲームなど新たなビジネスの展開」と3つのステップに分類。現在を3ステップ目とし、マルチデバイスの確立と新ビジネスの展開に取り組む。
6月3日の提供開始が明らかにされた新チューナは、Android OS 4.0を搭載し、高速番組表、高速ビデオ一覧など、従来の約10倍のハードウェア性能を実現する。チューナは3基内蔵され、2番組同時録画中に別番組を視聴することも可能。クラウドゲームサービスひかりTVゲームの利用ができるほか、テレビ向けアプリを取り扱う「ひかりTVアプリマーケット」にも対応する。初期費用は1050円、月額レンタル料金は現行チューナと同様の525円になる。
そのほか新サービスも紹介された。「ソーシャルVOD」は、VOD映像のタイムラインに合わせて、スタンプやコメントが投稿でき、コンテンツを視聴しながらそれらの投稿を確認できるというもの。スタンプはリモコンから投稿ができ、イラストだけではなく「キター」「いいね」などの言葉をスタンプにした「コメント型スタンプ」や、フリーワードによる書き込みにも対応する。これらの投稿数はタイムライン上に反映され、盛り上がり状況としてグラフに表示。盛り上がっている時間へ簡単にスキップして視聴することも可能だ。
トライアルとして、VODサービスの4Kトライアルを実施することも明らかにした。これは次世代コーデックであるHEVC/H.265による4KのIP配信を目指すもので、4Kコンテンツも自主制作する。コンテンツは大田区の町工場が中心となって国産ボブスレーの開発を行う「下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会」に協賛し、4Kによるボブスレー映像の制作を実施する予定だ。
坂東氏は「映像配信だけでは、今までの勢いで伸びていくことは難しいと思っている。マルチデバイス化を実施し、ビジネスの幅を広げていくことが、これからの戦略。そうした観点から電子書籍や音楽配信ビジネスを追加し、今回もクラウドゲームビジネスをスタートさせた。これは今までゲームをやっていないユーザーに対しても楽しんでいただけるサービスだと考えている。新たなユーザー層開拓につなげたい」と今後の基本戦略を話した。NTTぷららではこれらの施策により、2014年3月末に300万会員を目指すとしている。
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