海外企業の参入や自社コンテンツの配信を開始した放送局など、ビデオオンデマンド(VOD)は2012年、まさに元年とも呼ばれる勢いで拡大している。その市場に2000年から取り組み独自の方法論でユーザーを獲得してきたU-NEXTの代表取締役社長宇野康秀氏が語る、日本のVOD市場普及の道筋とU-NEXTの施策。
遡ること30年前になりますが、大学時代、読んだ本の中にビデオオンデマンドという言葉を見つけたのが始まりなんです。本には技術的に可能になる時代がくる、というようなことが書いてあって、これがもし実現したらどんなに便利なんだろうと。
その後USENの社長に就き、2000年くらいにUSENのインフラ網を再構築することでVODをできるのではないかと考えました。ただ当時はUSENのケーブル網では動画のインタラクティブ配信ができなかったので、光ファイバー化をすすめることにしました。
インフラ網の整備と同時に、楽天の動画配信サービス「ShowTime」にも出資しました。そうした時代を経て、もっと爆発的にVODの環境を広げるために始めたのが、無料動画配信サービスの「GyaO」です。
GyaOは2005年に設立しましたが、当時のPCは再生能力が低く、コンテンツも少なかった。なにより配信で映像を視聴する感覚がなかった時代です。ブレイクスルーするため無料サービスをはじめれば一気に広がるだろうと思って始めたのです。おかげ様で、今や当たり前のように皆さんがネットを通じて動画サービスを見るようになりました。
映像配信がここまで一般化された今こそ、本来自分がやりたかった定額制のVODサービスを始めたかったからです。GyaOは2009年にYahoo!グループの傘下に入りましたから、わかりやすくするため社名も「U-NEXT」へ改めました。
もともとはUSENの一事業としてやっていましたが、それだとどうしても制限がかかる。思い切りアクセルを踏んでやっていくためにUSENから切り離し、独立しました。
日本の映像関連ビジネスは、ビデオレンタルやセルDVD、放送系など6000個程度のサービスがあります。その中で、我々が提供しているVODは、システム的にも利便性についても圧倒的優位にあると考えています。
すでに米国ではVODにお客様がたくさんついていますから、日本がそうならない理由はない。例えば、以前はカメラで撮影するにはフィルムが必要でしたよね。フィルムを購入し、カメラに入れ、撮影後には現像所に持っていく。しかしデジタルカメラの普及にしたがってフィルムを使う人はごく一部の人になってしまった。VODの普及に関してはよくご質問いただくのですが、デジタルカメラと同様で、普及しない理由が何かあるのでしょうか? というのが私の答えです。将来的にはVODの市場が確実に一番大きくなるでしょう。
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