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すべてのエンタメをネットで届ける「ひかりTV」--板東社長に聞く次の一手

加納恵 (編集部) 栗栖誠紀(人物撮影)2013年06月20日 16時28分
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 ネット環境の強化やネット対応テレビの普及によって、ここ数年で多くの企業がサービスを開始させた動画配信。その中でもNTTぷららが運営する「ひかりTV」は、VODと放送の2つの形態を持つ映像配信を軸に、ショッピング、電子書籍、音楽、ゲーム配信と取り扱うコンテンツを拡大している。激しい競争が始まりつつある動画配信サービスの中でひかりTVはどんな施策を打ち出していくのか、またエンターテインメントコンテンツ配信は新たな基盤となるのかなど、戦略とこれからをNTTぷらら代表取締役社長の板東浩二氏に聞いた。

事業計画は第3ステップへ、この夏からPC配信をスタート

  • NTTぷらら代表取締役社長の板東浩二氏

--2008年3月のサービススタートから5年が経過しました。この間の事業運営について教えて下さい。

 サービス開始当初からひかりTVは、3つのステップでビジネス展開をしていこうと考えていました。第1ステップは「ひかりTV」ユーザーを100万人集めること。100万人集めればユーザー基盤ができますので、経営的にも非常に安定してきます。これはサービス開始から2年間で達成しました。

 第2ステップは、ビデオオンデマンド(VOD)マーケットの構築です。2008年当時、VODのマーケットはゼロに等しく、放送系サービスが一般的でした。しかし長い目で見ればVODが主流になってくるはずと確信していました。すでにPCや携帯電話、スマートフォンなどは好きなときに欲しい情報を取り出して見る、極めてVOD的な使われ方がされていました。映像も好きな時に好きなコンテンツを見ることが主流になる、それを前提にVODマーケットはひかりTVが先頭に立ってマーケットを構築したかったのです。

  • ひかりTV会員数の推移。2013年3月末で245万人を達成

 VODを普及させるために手がけた施策の一つが見放題プランです。固定料金で5000本見放題と、当時としてはかなり珍しいサービスを提供しました。現在は月額2625円で、8000本のビデオが見放題の「ビデオざんまいプラン」を提供しています。2012年3月末には、ひと月あたりの利用回数が2000万回を超え、順調にユーザーを拡大していっています。こうした数字からもVODマーケットが構築されてきたのではないかと思います。

 そして第3ステップが2012~2013年にかけて実施している最中のマルチデバイス、マルチスクリーン化です。ブロードバンドが大容量化されれば映像を配信するのは自然な流れで出てくるでしょう。それを考えた時、テレビだけではなくスマートフォンやタブレット、さらにPCにも映像配信サービスを提供できる仕組みを作りたいと考えました。これは約1年半前から取り組んでおり、スマートフォンにおいてはひかりTVのサービスを受けられる機種がすでに150機種以上にそろってきています。6月にはAndroid OSを搭載したスマートTV対応の新STBを投入しましたし、夏にはPC向け映像配信も始める予定です。それが実現すればマルチデバイスのラインアップはそろってきます。

--想定よりも前倒しで展開されている要因はどこでしょう。

 いろいろあると思いますが、一つは販売チャネルの確立ですね。量販店、NTT東日本、西日本に加え、テレマーケティング、ウェブ上からの申し込み受け付けなど、早い段階で販売チャネルが確立できました。また、MM総研などのアワードで最優秀賞を頂いていることも信頼性につながっていると思います。さらに放送系とVODサービスの両方を持っている、という運用面も大きいですね。

 例えば放送系で、ある海外ドラマのファイナル・シーズンがスタートします。これに合わせて、VODサービスでは同じ番組のファーストシーズンからファイナル・シーズンの一つ手前のシーズンまでの全話を提供する。そうした運用面での見せ方はひかりTVならではだと思います。

 加えて操作性の高さもお客様の満足度につながっている要因だと考えています。VODは提供本数が何万本とありますから、その中から見たいビデオを探すのは大変な作業です。それをボタン一つで新着、人気、五十音順に並び替えたり、レコメンド機能を用意したりと、サービス開始当初から操作面の改善は常に行なっています。利便性の向上とユーザーインターフェースの改善。これを常にやってきたことが満足度に結びついているのではないでしょうか。

インターフェースの改善は“執念”、プロジェクトチームで地道に取り組む

--操作性の改善は、どんな体制で取り組まれているのですか。

 プロジェクトチームを作って対応しています。その中には営業開発部門やコンテンツ戦略部門など、あらゆる部署の人間がいます。お客様から改善の要望が上がってきても、一部はコンテンツの問題だったり、営業的な事柄が絡んでいたりと、どの部署が対応すればいいかすぐには判断できないことがあるのです。ですから、部署を横断したプロジェクトチームを発足しました。

 ひかりTVに関しては、私自身がヘビーユーザーですから「ここを改善してほしい」「こんな機能が欲しい」などと要望を伝えることも多いです。そうした課題をプロジェクトチームが引き取って、優先順位をつけ解決していく。それを何年も繰り返してやってきました。非常に地道な仕事ですが、それがお客様の満足度に結びついているのだと信じています。今後もユーザーインターフェースの改善については執念深く取り組んでいきます。

--ご自身がユーザーだからこそ、使い勝手がわかるのですね。

 私自身、土日は10時間程度、平日でも3~4時間はひかりTVを見ることもあります。視聴するコンテンツはいろいろありますが、気に入った海外ドラマなどはシーズンを通して全話見ています。

 元々我々はインターネットプロバイダが本職で映像ビジネスは素人でした。ですからコンテンツ調達から始まって、どういった仕組みでお客様に映像を提供すればいいのかは、ずっと手探り状態で取り組んできたのです。その中で、まず自分がユーザーになってみようと。いちユーザーとして視聴していると気になるコンテンツも出てきますし、こんなコンテンツがあったら見たいといった要望も出てきます。これだけ大量のコンテンツを何年も見ていると質や人気の度合いが、直感的にわかるようになってくるんですよ。

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