ソーシャル時代の到来はマスメディアにもエキサイティング--日米メディアの雄が討論 - (page 2)

岩本有平 (編集部)2013年06月06日 15時57分
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ソーシャルと民主主義の関わり

西村氏:「民主主義」の問題について聞きたい。議会制民主主義への不満の高まりという話もある。日本の状況を踏まえて語って欲しい。

伊藤氏:英語で「Public Sphere」「Civics」という言葉がGoogle 翻訳を使っても出てこない。米国だと議員立法を出す仕組みなどを学校で教えるなど、いかに国に国民を(政治に)巻き込むかを考えているが、日本にはあまり「国民はどうすべき」という義務はない。

 またPublic Sphere、みんなが集まって話をする--ということも、やっているのはやっている。投票率だって米国より高い。だが日本の言葉として存在しない。それは文化としてないのか。

山田氏:あらためて「Civics」ってないと思った。義務ということであれば「参加しないといけない」となるが、「自分の時間をかけて何かを解決する」という意識は薄いのでないか。

 公共の言論機関は、ある意味新聞社などが担ってきたと思う。市民が「おかしい」と思ったとき、それを「おかしい」と言い続けたり、誰が何をできるかといったことを具体化したり。そういう時に新聞はその役割を担ってきていた。

 しかし一般の人が声を上げたり、個人と個人がつながって作業、モニタリングできるフェーズになると、(メディアとの)力関係やバランスは変わっていかないといけない。


「ザ・ハフィントン・ポスト・ライブ」代表のロイ・シーコフ氏

シーホフ氏:米国では、報道がゲームの様に放送される。それは報道がまったく政策議論に繋がらないから。

 たとえば移民問題で考えると、本来人道的な視点で家族にどう影響及ぼすのかを考えるべきなのに、「民主党有利、不利」といった採点しかしない。ハイレベルな議論は人々にとって退屈。

伊藤氏:米国では、政治資金をNPOに出して、NPOがコマーシャルを打っていいという判例が出た結果、選挙がお金に振り回されるようになってきた。

 それで日本のネット選挙どうなるか。日米とも問題はあるが、米国の方が(制度は)壊れている気がするし、何をしてもダメだとあきらめている。

 変な言い方かも知れないが、日本がかっこいいことをやって、「世界の中でなかなかやるじゃん」となってほしい。中国もアラブもちゃんとしようとしている。日本も何かやるべきタイミングと思う。

ネット選挙解禁でマスメディアに求められるもの

西村氏:ネット選挙解禁を踏まえて政治、言論の状況を語ってほしい。

山田氏:今回のネット解禁で、ともすると「メディアは中抜きになる」と言われる。その中でを何やるか聞かれると結構辛い。

 ソーシャルアカウントを通常の報道と同じように使うのかというと、選挙の場合はそうはいかないと思う。声大きい人にどんどん寄っていってしまう可能性もあるので、政策をピックアップしてTiwtterで発信していくのは難しい。議論の積み重ねが難しい。

シーホフ氏:しかしメディアの機能として、「ファクトチェック」は残る。我々の仕事はきっちりチェックし、事実を担保するということにある。

山田氏:おっしゃるとおり。日本では、国会議員がどういう発言をして、どういうことをしてきたかということをきちんと伝えたり、比較したりできない。また、(候補者が)「こんなことやってきた」と話した時、それがどこまで正しいのか有権者側は分からない。それをきちんと検証し、伝えていくことは重要。

 私たちは過去の実績も含めて、(候補者が)どういったことをやってきたかを伝えていくことが求められる。

西村氏:日本の中で新しい仕組みを構築するにあたって、冒頭オープンデータ、オープンガバメントについての話があった。

山田氏:Open Knowledge Foundationがやっている「税金はどこへ行った」という取り組みがある。これはアプリを世界に配布しているものだが、「市町村が何にどんな予算を使っているか」というデータをあらかじめ入力しておくと、ユーザーが入力した自身の年収に応じて、年収のうちいくらが何に使われているかを知ることができる。現在日本では10ほどの自治体のデータが蓄積されつつあると聞いている。

 これを聞いて思ったのは、「ここまで見えるようにする」ということが重要だということ。新聞も予算をものすごくかけて記事を作っているが、ビジュアル的にも分かりやすさが足りなかった。

 だが一方で、作っている人に聞いたのは、日本の自治体は、部門毎にデジタルデータを作っているが、最後にとりまとめたものは紙しかないという。こういった点は自治体のオープンデータの課題ではないか。

伊藤氏:オープンガバメントでは、(政府や自治体は)自分たちをよく見せたいデータは出すが、そうではないものは出さない。データサイエンティストとジャーナリストを合体させて、ソフトを書いてデータを分析できるようなジャーナリストは重要。国が出したくない情報を出す役割が必要になるので、それは忘れてはいけない。

シーホフ氏:Sunlight Foundationなどは、「お金を追求すれば悪い奴を捕まえられる」と考えて活用されている。誰がどこに政治献金しているのか、スポンサーしているのか、そして投票しているのかを調べている。

 オバマケア(医療保険制度改革)で1日ディスカッションした際、民主党、共和党らが誰が同献金をもらっているかを表示した。データはただ出すのではなく、政治や起業家と結びつけるのが大事。

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