ネスレ日本 飲料事業本部 ネスカフェ アンバサダー ビジネスグループ シニアマーケティングスペシャリストの津田匡保氏は、主に中小企業のオフィスに家庭向けコーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」を無料で貸し出す「ネスカフェ アンバサダー」のビジネスモデル構築やコミュニケーション開発を担当している。
ネスカフェ アンバサダーは2012年11月から募集を開始し、現在までに6万台を提供しているという。ネスレ日本も当初は、大塚食品と同じく新たなユーザーの獲得を目的にFacebookページを立ち上げたが、現在は消費者とのコミュニケーションの場としての側面が強くなっているという。ファンの数もすでに10万人を超えている。
「ネスカフェ アンバサダーのウェブサイト内には、企業が使用感をレポートできるページも用意しているが、やはり無料でマシンを提供しているのでポジティブな意見が中心になってしまう。今後のサービスの改善につながる意見はFacebookページの方が多い」(津田氏)
Facebookページへの投稿を通じて新たな発見もあった。バリスタを使ったアイスコーヒーの作り方を投稿したところ、多くのユーザーがホット専用のマシンだと思いこんでいたため、予想以上の反響があった。これを受け自社で調査したところ、夏場には3割しかバリスタが使われていないことが判明。急遽、さまざまなアイスレシピを用意したのだという。
トークセッションの最後には、今後ソーシャルメディアの運用を検討している企業担当者へのメッセージが送られた。
まず、ネスレ日本の津田氏は「まずは何か1つ明確な目的を決めてとりあえず始めてみると、そこから活用方法が広がる。ソーシャルメディアは、製品開発やアイデアのテストに向いているなと思う。質問すればユーザーは自発的に答えてくれるので、まずはそこから始めてもいいと思う」とコメント。
続いて、サッポロビールの森氏は「社内でもソーシャルメディアを使いたいと言われることがあるが、その際はまずサッポロビールの公式アカウントに代理投稿してもらい、運用できそうならやってもらう。まずは、2週間分コンテンツを用意してもらうが、多くがそこでフェードアウトする」と指摘。
社内にソーシャルメディア担当者がおらず、上司などからの理解が得られない場合はどうすれば良いか、との質問に対しては「逆風が吹いている時は社内で味方を作るべき。会社ではなく自分のアカウントで投稿してもらい、ソーシャルメディアのおもしろさを理解してもらうことが大切」(森氏)との持論を展開した。
最後に大塚食品の加藤氏は「成功事例が世の中に増えているが、やり方は無数にあるし目的もそれぞれ違う。一番大切なのはそのブランドの目標をきちんと把握して、ソーシャルメディアではどこが補えるのか、何ができるのかを考えること。何も考えずに始めてみてトライ&エラーを繰り返すのもいいが、課題を認識することも大事」と語り、トークセッションを締めくくった。
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