また、BEAMSと雑誌「Hanako」が連動して、特別サイト「SANPO BEAMS」を開設。BEAMSのスタッフが、Powershot Nを手に話題のスポットを散歩し、BEAMSならではの視点で紹介。写真共有サービス「Flickr」と連動したスタッフブログを更新するといった取り組みも行っている。
このように、PowerShot Nでは、直接手に取る場所を限定するとともに、ファッション性や都会の生活シーンに溶け込んだ利用法を訴求。細かい機能などについては、同社スペシャルサイトを通じて、訴求するという手法を取り入れた。
PowerShot Nは、マルチボーダー、サクラパール、ステッチブラック、アクアブルーの4色を用意しているが、最も人気が高いのがファッション性が高いマルチボーダー。一般的にシンプルなカラーが売れ筋となるコンパクトデジカメの中でも、かわいいカラーが人気となっているのも、こうしたマーケティングの効果ともいえよう。
新製品には、ガジェット好きと呼ばれる層が最初に飛びつくのがこれまでのデジタル機器の通常パターン。もちろん、PowerShot Nでもそうした層が最初に購入したとみられる。
こうしたガジェット好きと呼ばれる層は、製品に触れる場を限定していたとしても、ウェブを通じて情報を入手し、ユニークなコンセプトの製品であることや、その機能性を自ら認知する。ウェブ限定のマーケティング手法でも、着実に響く層だともいえる。
だが、キヤノンMJでは、これらの層に加えて、もうひとつの新たな需要開拓を狙った。
それが“クリエイティブ女子”である。お洒落についても敏感で、自ら創造することに前向きな女性たちであり、「むしろ、われわれのメインターゲットはここにおいた」(岩田氏)とも語る。BEAMSとの連動やHanakoとのタイアップという施策からも、それを感じることができる。
「BEAMSを通じた当社サイトへの誘導は、当初予想の2倍近いものになっている」としており、その手法は功を奏しているようにみえるが、「購入という観点で、女性層をどこまで獲得できたかというと、もう少し努力する必要がある」とも語る。
IXYシリーズでは、女性層が約5割に達しているようだが、PowerShot Nは、まだそこまでは達していないようである。つまり、より女性層に使ってもらうための仕掛けが、これからの課題となりそうである。
いずれにしろ「何が合格ラインなのか、まったくわからない中での手探りのマーケティング」(岩田氏)という同社初の取り組みという点をとらえれば、即日完売を続けた実績は、その言葉とは裏腹に、合格点に達したといっていいものだろう。
だが、同社では、このままでは止まらずに次の施策も検討しているようである。今後のPowerShot Nのマーケティング施策は、どんな取り組みが用意されているのだろうか。初めてづくしの取り組みは、まだ続きそうだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」