継続的なコミュニケーションのフェーズから、さらにライブへの誘導、グッズ販売、楽曲販売というマネタイズのフェーズへは、ソーシャルメディアに実装可能なコンテンツプラットフォームの利用が考えられる。Facebookページのアプリとして実装されるツールを活用し、Facebookページ上での視聴から購買サイトへの誘引、ECサイトへの誘引、チケット販売サイトへの誘引が行える。具体的には、BandPageやFanRXやFanBridgeといったサービスがあるが、ドメスティックなサービスがないため、これらのサービスから連携されるのはiTunesなど基本的に海外ベースのサービスとなる。国内であれば「レコチョク」やサブスクリプション系のレコチョクBEST、Groovyといったサイトに別途誘導する必要は出てくる。特に、レコメンドにより楽曲との出会いを創出する仕組みが取り入れられているGroovyには期待したい。
販売に関しては、iTunes、Amazon MP3、Groovyなどに楽曲を展開できるアグリゲートサイトとして「TUNECORE」が日本でも展開されている。定額を支払うことで複数のサイトでの楽曲販売を一括で仲介してもらえるということで、こういったサービスも是非活用したいところだ。
1点注意したいのは、この図の中に、アーティストのオフィシャルサイトがないことだ。それをどう定義するのかということもポイントになる。これまでは、オフィシャルホームページは、最も新しい情報がアップされる場、正確な情報を集約させる場として一定の役割があったが、もはやTwitterで最新トピックが流れ、各オフィシャルアカウント上に詳細な情報がアップできるため、その役割の意味は薄れている。これまでは多くのアーティストがオフィシャルサイトをハブとして各ソーシャルメディアへリンクさせるという形になっていたと思うが、これからは、さまざまなソーシャルメディアにおいてリーチしたファンが最終的に着地するポイントとしての役割に変わっていくだろう。
つまり、オフィシャルサイトはプレミアムな価値を提供し得る、アーティストオリジナルなコミュニティプラットフォームとなる。Lady Gagaのビジネスパートナーとして有名なTroy Carter(トロイ・カーター)は、LadyGagaのソーシャルメディアアカウントをさまざまなメディアで展開し、世界でも最も多いと言ってもいい規模のファン数が集まっていても、そこで発生する購買はわずかなものであることを問題視していた。そこで、LadyGagaとしてのオリジナルのコミュニティサイトを「LittleMonsters.com」を設置し、特に濃度の高いファンを集めて、物販を含めた購買プラットフォームとして機能させることを考えている。オフィシャルサイトはこれまでのような玄関口としてのオフィシャルサイトから、特に濃度の高いファンが最終的に集うコミュニティとしてのオフィシャルサイトへと再定義されていくのではないだろうか。
ここまで述べてきたように、アーティストやマネージャーなどスタッフは、闇雲にソーシャルメディアアカウントを開設して、横展開だけを進めるのではなく、メディアごとの役割分担を明確にした上で、ユーザーを誘導する流れを意識した運用を心掛ける必要がある。
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