Googleのエンジニアは、難しい問題や、自動運転車のような壮大な挑戦に取り組むことで知られている。しかしGoogleにとっての最大の挑戦はつねに検索だった。1つの企業として進化してきた15年で、クラウドの中にあるGoogleの脳は、より会話的で、賢いものになりつつある。
最も有力な証拠が、音声入力をメインのインターフェースとしている「Google Glass」だ。Googleの会長であるEric Schmidt氏はGoogle Glassのユーザーエクスペリエンスについて、「音声認識は、ユーザーがこうしたものに語りかけられるほど優れたものになっている」と語った。同氏はGoogle Glassやそのほかのデバイスを使って会話によるクエリを行えば、Googleの検索エンジンは個人用デジタルアシスタントのような、もっと役立つものになると考えている。例えばGoogleの脳があなたの旅行のスケジュール情報を参考にして、交通渋滞やセキュリティチェックの混雑が発生しているので早めに空港へ出発した方が良いと、あなたの耳元でささやくかもしれない。
Google Glassとの理想的なやり取りは1回の回答ではなく、もっと何度もやり取りのある会話だろう。Googleの検索エンジンは文脈を記憶できるので、追加で質問するときには、あいまいな言い方になっても構わない。
それは「Android」搭載スマートフォンでは実現しているため、Googleは音声アプリの市場を拡大するために、独自デバイスの開発やパートナーとの連携を進めていく予定だ。Schmidt氏はニューヨークで開催されたAllThingsDモバイルカンファレンスでのインタビューで、「われわれは今後、さまざまな種類のデバイスを数多くそろえるつもりだ。そのためにパートナーとの協力を進めている」と語った。
Topeka Capital MarketsのアナリストのVictor Anthony氏は、音声検索はGoogleの株価を上昇させると断言している。最近の報告書で同氏はGoogleについて、買い評価で目標株価950ドルとしている。Anthony氏はメモの中で次のように書いた。「検索と表示におけるGoogleの取り組みは投資家に十分理解されているが、あまり評価されていないかもしれない。そのような状況でわれわれは、Googleにとって次の長期的成長の舞台だと考える、音声検索に注目している。音声検索はGoogleの影響力を、デスクトップ分野だけでなく、人間の生活の事実上あらゆる機能へと積極的に拡大するだろう。音声検索以外では、Googleは検索や表示、モバイルを原動力として、世界中の広告予算のシェアを奪い続けるだろう」
Anthony氏は、Googleは自然言語インターフェースへのシフトから利益を得るのに好位置につけているとする。それを支えているのは、同社のインフラストラクチャーとサービス、そして世界中でのモバイル分野への投資である。「人間がキーを押すという操作をあまりしなくなるにつれて、音声入力や音声認識、ほぼリアルタイムでの翻訳はより重要になるだろう。Googleが有利な立場にいるのは、過去10年の大半を音声認識の精度を高めることに費やしてきたため、そして上層部の支援があったためだ」(Anthony氏)
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