ソニーとオリンパスは、医療事業での合弁会社「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社」を4月16日に設立。ソニー出身で新会社の代表取締役社長に就任した勝本徹氏、オリンパス出身で代表取締役副社長に就任した深谷孝氏が会見を開いた。
両社は、2012年9月28日に業務提携を結び、新会社設立に向けて準備を進め、各国の承認を待っており、約半年を経ての新会社設立となった。新会社の資本金は5000万円。ソニーが51%、オリンパスが49%をそれぞれ出資する。
ソニーが持つセンシングや画像処理、ディスプレイなどのデジタルイメージングをはじめとするエレクトロニクス技術と、オリンパスのレンズ・光学技術、滅菌耐性技術といった医療機器の製造と開発技術を組み合わせて、4K以上の解像度技術、3D機能などを有する新型外科用内視鏡と関連システムなどの開発、設計、製造、販売を手掛ける。手術室などで使用される医療機器や映像機器の新たなシステムソリューション事業を世界で展開。質の高い医療の機会を届け、世界の医療発展への貢献を目指すとしている。
勝本氏は「革新的な外科イメージング機器を立ち上げて、社会に貢献していきたい。新たな製品を投入するには、医療認可も必要であり、それまでに数年かかるだろう」と見透す。
その上で勝本氏は「だが、2020年度には、われわれが目指す外科医療でのイメージングソリューションマーケットが約3300億円の市場規模になると想定される。その市場で20%以上のマーケットシェア獲得を目指す」と事業目標を示し、「当面は、外科医療分野に特化した形で事業を行う」とした。
本社は東京都八王子市に置くが、「オリンパスの八王子石川事業所から自動車で5分の距離。オリンパスが持つ医療機器の資産、設備を最大限活用できる立地を選んだ」とした。
オリンパスがこれまで開発した3D外科用内視鏡や2D外科用内視鏡、HD以下の解像度の外科用内視鏡は引き続き、オリンパスが担当。さらにオリンパスが得意とする消化器系内視鏡のビジネスは新会社では行わない。
新会社が開発した新製品は、販売にはオリンパスが持つ医療分野における世界規模での販売網を活用するという。
外科手術は、従来のメスを使った開腹手術から外科用内視鏡で撮影した映像技術を利用し、体にダメージが少ない低侵襲(ていしんしゅう)治療へと移行している。
「手術で使用する内視鏡は特殊な形をした装置だが、中身はカメラである。オリンパスは、外科用内視鏡や医療用機器を手術する患部の先端にまで持って行くことができる技術があり、これにソニーが持つ映像技術を組み合わせることで、手術室を変えることができる。見ることを徹底的に追求する外科イメージング機器の開発、手術室をイメージングスタジオ化するシステムインテグレーションが当社が手掛ける事業になる」(勝本氏)
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