深谷氏は「外科手術では、骨と神経を見分ける、臓器と血管を見分けるというように、赤い組織同士、白い組織同士を識別できること、狭い空間で内視鏡をコントロールし、広い視野を確保すること、処置にぴったりと追従するリアルタイム性が求められる。手術に必要な情報などを的確に表示する技術も求められている」と現在の状況を説明した。
そうした状況に対し深谷氏は「こうした映像すべてをシステムインテグレーションする必要があり、そこに両社の強みを生かしていく。ソニーのロボティクス技術を活用して、新たな外科機器の創造にも乗り出したい」と抱負を語った。
新会社のロゴマークは、ソニーの“S”とオリンパスの“O”とを掛け合わせ、同社のイメージカラーであるとともに、医療分野で重要な色である青を基調にしたほか、「医療のシンボルとして、ギリシャ神話(に登場する名医)のアスクレピオスの杖を模したものとなっている」(勝本氏)と説明した。
勝本氏は「ソニーとオリンパスの双方の資産を惜しみなく投入した。ソニーはデジタルイメージングの基幹となる人材を投入し、オリンパスも外科医療機器に関わるトップ人材をこの会社に投入してくれた。ベストな人材により、強力な布陣でスタートできる」と語る。
勝本氏はソニー時代に、デジカメ事業でコニカミノルタの事業統合に取り組んだ経緯があり、エレクトロニクス事業のエンジニアと精密事業のエンジニアをうまく統合した実績を持つ。その際に、コニカミノルタの本拠がある大阪で事業を展開するという手法を採用した。
今回のソニーとオリンパスによる新会社は、エレクトロニクス事業のエンジニアと、医療機器事業のエンジニアの統合に挑むことになる。そして、オリンパスの地場である八王子でこの事業を展開するという点でも、コニカミノルタでの統合手法とダブる。「どちらも補完関係がある分野のエンジニア同士。すでに半年間の間に双方が顔見知りになっている。うまくいく」と勝本氏は自信をみせる。
新会社から新製品が登場するのは数年先。だが、これを実現するには、なるべく早い段階で両社の文化がうまく融合できるかが鍵になる。
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