Hewlett-Packard(HP)は米国時間4月8日、「HP Moonshot」サーバシリーズを発表した。第1弾はIntelの「Atom」プロセッサベースのシステムで、それ以外のチップセットも今後採用する計画だ。Moonshotを通じて、個々のワークロードに適合するソフトウェア定義型の「ハイパースケール」サーバを開発することをHPは約束している。
新しいMoonshotでは、従来サーバの3倍速いサイクルで製品をリリースすることが可能だという。HPにとってMoonshotは、イノベーションを起こし、サーバ市場のリーダーとしての地位を保ち、ますます自前でシステム構築するようになっているクラウド顧客の需要に応える力があることを示すものだ。
HPの最高経営責任者(CEO)Meg Whitman氏はこの日のウェブキャスト冒頭で「ブロントバイト級の膨大なデータ」について語り、このままいくとウェブは持続不可能になると主張した。「(需要を満たすのに)データセンターのスペースがフットボール競技場200個分も必要」になり、新たに発電所を建設しなければならなくなるというのだ。
しかし、数年がかりの取り組みである「Moonshot Project」の場合、システムによってデータセンターに必要なスペースと電力が削減されるという。「デバイスがあと200億台増えても対応できる」とWhitman氏は述べた。
HPがまず売り込もうとしているのは、「多様な」Moonshotサーバと、「モノのインターネット」やM2M(マシンツーマシン)アプリケーションなどの開発用に設計されたアーキテクチャだ。最初の顧客としては、データセンターのホスティングとクラウドサービスを手がけるSavvisやパデュー大学などの名前が挙がっている。
HPの幹部らはMoonshotシステムを、「UNIX」から「x86」サーバへの移行やブレードシステムの導入がもたらしたイノベーションになぞらえる。
HPエンタープライズグループのゼネラルマネージャーDave Donatelli氏は、第1世代のMoonshotシステムでは50以上の顧客にベータテストをしてもらったと明かした。第2世代のMoonshotシステムでは、ソフトウェア定義型サーバの開発に重点を置くという。今から10年後にMoonshotのリリースを振り返ったとき、この出来事はサーバ業界の変化の節目として認識されるだろうとDonatelli氏は述べている。
HPによると、この日米国で発売された第1弾のMoonshotシステムはクラウドのワークロードに焦点を合わせたものだという。同システムはIntelのAtomプロセッサを搭載している。また今後、ゲノミクスからクラウド、動画、分析、遠距離通信、ゲームに至るまで、さまざまなパートナーや垂直市場に向けてさらに多くのシステムを投入していくという。米国外および同社チャネル経由での発売は5月の予定だ。
プロセッサを供給するパートナーにはIntelのほか、Advanced Micro Devices(AMD)、Applied Micro Circuits、Calxeda、Texas Instruments(TI)の名前が挙がっている。
Donatelli氏はそのほか、Moonshotハイパースケールサーバ向けにアプリケーションの最適化を手がけるソフトウェア開発者のエコシステムを強調した。サーバをただ追加し続けるばかりでは、大企業やクラウド企業は立ち行かなくなると同氏は主張する。いずれ電力もスペースも枯渇するというのがその理由だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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