緑色のキャラクター「スーモ」でお馴染みのリクルート住まいカンパニーが運営する不動産・住宅サイト「SUUMO」。そのウェブサイトの裏側は、日本屈指のプロモーション予算を扱う現場でもある。
ビッグデータを活用してビジネス課題に迫っていく手法の数々を、リクルート住まいカンパニー MP統括部 SUUMOネット推進部 部長の川本広二氏に紹介してもらった。
SUUMOのビジネスモデルは、不動産業会社とユーザーとのマッチングによって手数料を受け取るマッチングビジネスだ。
低頻度・高単価商品である不動産という商材の特性上、一人の顧客が頻繁に利用するわけではないので、集客力が大きな要素となる。SUUMOの場合、テレビやウェブでの広告をはじめとするプロモーション費用には、積極的な投資を行っているという。
「2011年の資料では国内の広告出稿料ランキングにおいてSUUMO単独で8位、今は4位くらいにつけているはずです。より多くのユーザーにSUUMOをご利用いただくには、大きなリーチを得なければならず、一定のコストが必要になるのは当然ですが、その一方で効率性も重要です。その最終的な目標は(消費者と不動産会社のマッチング成立である)コンバージョン」と川本氏は説明する。
もちろん、他と比べて多額とはいえSUUMOのプロモーション予算にも限度があるため各種のプロモーション施策の組み合わせを効果的なものとし、無駄を省いていくことも重要だ。
効率的かつ効果的なプロモーションを行うために、同社ではサイト内のユーザー行動や商材である物件の売れ行きなど、さまざまなデータを元にした各種の解析・予測手法を駆使している。
「まず、今後どのようにコンバージョンが推移していくかは、『状態空間モデル』を用いて予測しています。これはロケットの誘導にも使われる手法で、いろいろな変数を掛け合わせて最終的なゴールを導くものです」(川本氏)
それぞれの広告施策の効果がコンバージョンにどのような影響を与えるかは、時間の経過に応じた変化や、他の施策に対する影響も含め、過去の実績から推測できる。また、季節変動や景気動向などといった外的要因の影響もある。
こうした予測を用いて、地球や大気、他の天体などからさまざまな影響を受けて飛ぶロケットを目標へ正確に飛ばすのと同じように、その売上予測を目標値へと近付けていくプロモーションの内容を探っていくのである。
各プロモーション施策については、それぞれ直接・間接の効果を分析・評価し、効果がどのように累積していくかを可視化しているという。
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