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第1回:マーケティングのできる人や組織が真に必要な時代 - (page 2)

三宅隆之(インテグレート)2013年03月27日 10時00分
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 従来のマーケティングは、マスメディアを活用して認知をさせ、PCでのウェブ接触により商品を理解させ、少しでも購買に生活者を近づけようとしていました。ただ商品を買うということを「実際の行動レベル」で考えると、ECを除けば、生活者は必ず店頭(PCと接触しにくい場所)まで出かけて行かなくてはなりません。スマートフォンが登場したということは、店頭まで行く間にも生活者にウェブを通じて情報を提供するチャンスが生まれたということになり、ある意味大きなチャンスを手に入れたともいえるのです。

 ただし、数多くの企業はこのチャンスを手に入れるのに、従来のやり方を変えなくてはいけない状況にあるのではないでしょうか。これまで、多くの企業が自社発想で「商品ブランドの最大の強み」をまず決めて、その強みを伝える統一のメッセージをすべての接点(マスやウェブ、店頭など)で発信していました。接点によって多少伝え方を変えたとしても、内容は変えず、その訴求ポイントを伝え続けていました。

 ここで、ご自分が何かの商品を買ったときの記憶を思い起こしてみてください。「商品の認知」→「関心」→「購買」までの全過程で、「この商品は他商品より○○だ」という1つのメッセージが、「自分が購入するまでの気持ちを後押し続けた」という経験が、どの程度あるでしょうか。

 顧客の購買までの一連のプロセスを分析することを「カスタマージャーニー」と言いますが、それぞれの段階で人を動かすメッセージは、決してひとつではありません。もちろん「他社より自社商品が良い・違う・新しい」などという広告が人の心を動かすこともありますが、世の中のトレンドを伝えるPRや、購買の不安を払しょくする口コミなど、様々なメッセージが複合的に寄与して人を動かします。

 私たちは、マーケティングの各段階で人々を動かしていくメッセージのつながりを「コミュニケーション文脈」という言い方で捉えています。各段階でのメッセージが伝わることも大事ですが、適切に文脈が連なっていかないと、生活者は購買にまで行きあたらないことを、私自身も何回も経験してきました。

 最近では、020(オンラインtoオフライン)の施策も多く見られますが、ただ店頭に人を呼び込むことが重要なのではありません。コミュニケーション文脈全体の中で、マスメディアでは何を伝え、購買時点の近くで何を伝えればよいかを考えてプランニングすることが、今後ますます重要になると思います。

 このように、発信すべき情報が購買までの段階によって変わり、また生活者にコンタクトできる接点が広がるということは、自社商品を買ってもらうまでの変数が、爆発的に増えるということを意味します。企業発想で商品の優位性を決めてそのメッセージを発信し続けるのではなく、これらの変数を見極め、その段階に応じて最適な施策を展開していくことがビジネスの成功には不可欠です。まさに「自社の商品・サービスが売れる(売れ続ける)ための仕組みづくり」であるマーケティングが重要になってくる時代になるのだと思います。

 そしてこのように多様な変数を見極め、今の時代のマーケティングを成功させるには、マーケティング部門以外の全セクションがマーケティングをすることが必要になります。認知から購買までの各段階での最適なメッセージを考えるとしたら、マーケティング部や営業部、広報部、ウェブ、商品開発部など生活者の行動導線や商品に関わるすべてのセクションの人々が、ビジョンを共有し、オペレーションレベルで擦り合わせながら進めていくい事が必須になってくるからです。

 私が大手広告代理店から、統合マーケティングを行うインテグレートに転職したのも、【マスメディア・広告型マーケティング】では通用しなくなったこの時代の変化に、よりダイナミックに対応し、以下の自己紹介に述べた「なぜヒトは動くのか」「ベストなマーケティングとは何なのか」を追求し続けたいと思ったからです。広告会社では、売上や利益の中心となるテレビCMを売らなければならないという広告モデルの宿命があり、どうしても自分の欲求実現に制約をうけるという現実があったのです。

 次回は、全セクションでマーケティングを進める上でも特に重要となる「自社ウェブ」の課題について考えながら、“本当に効くマーケティング”のヒントを、事例を交えてお伝えしていきます。

◇筆者自己紹介
三宅隆之(みやけ たかゆき)
三宅隆之(みやけ たかゆき):消費者心理アナリスト/プランニングディレクター
はじめまして。このコラムを担当することになりました、三宅隆之(みやけ たかゆき)と申します。私は現在、株式会社インテグレートという会社で、消費者行動分析~様々な接点を統合したマーケティング戦略立案・実施を行い、クライアントが抱える様々な課題の解決を行っています。
インテグレートに来る前、私は大手の広告会社に17年間勤務しておりました。広告会社時代の最初の13年間は、マーケティングの部署に所属し、様々な生活者調査をベースとして、クライアント(広告主)の広告戦略を立案する仕事をしておりました。その後、広報室で企業の「広報・PR」業務を体験した後、クロスメディアプランニングという部署で、広告・PR・ウェブのベストミックスを考える仕事をしておりました。そして40才の時に、現在所属するインテグレートに転職し、今に至ります。
インテグレート
4月からビジネスマン生活・23年目のシーズンを迎えようとしていますが「ヒトはなぜ動くのだろう」「どうしたらベストなマーケティングを実践できるのだろう」ということに、尋常でない関心(笑)を抱いて日々過ごしているうちに、あっというまに今になってしまった気がします。

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