ちょっとした不具合はあるものの、少なくとも筆者にとってGoogle Nowの価値は不完全さや、プライバシーまわりの明らかな居心地の悪さを補って余りあるものとなっている。しかしここでより重要な点は、世界がビッグデータを取り扱うようになった時にどういったことが可能になるのかをGoogle Nowが示しているところにある。
こういったものによって、カスタマイズ可能なダッシュボードと、ユーザーの好みを反映したデータに対して勝利がもたらされ、より多くのデータを今まで以上に迅速、かつ自動的に整理できるようになるはずだ。しかし、従来であればまったく別の入れ物に保存されていたデータが取りまとめられる結果、人や組織に関するさまざまなものごとが推測できてしまうようになるため、今までには予想もしなかったかたちでプライバシーに関する懸念が持ち上がってくることも考えられる。
その一方で、これは強力な武器となる。自らのアドバンテージにできるような使い方を学んだ企業は、競合企業に大きく差を付けられるようになるわけだ。
Google Nowを見るだけで、他のモバイルプラットフォームに存在していない戦略的アドバンテージがAndroid機器にもたらされていると分かるはずだ。WindowsのアナリストであるPaul Thurrott氏はGoogle Nowを評して、「オンラインサービスがこのようなかたちで緊密に統合されているのは素晴らしいことだ。とにかく素晴らしい。そのおかげで『Windows Phone』が少し、えーと、勢いがないように思えてくる」と述べている。
もちろん気がかりなのはWindows Phoneだけではないはずだ。これはAppleの「iPhone」にとっても大きな脅威となるだろう。
Google Nowと、Androidの通知システム(筆者は以前から、これがiPhoneに対する切り札となる機能の1つだと評している)の双方を使いながら筆者は、Android携帯にどんどんのめり込むようになっている。今まで筆者はAndroid携帯を、主に仕事関係の電子メールやインスタントメッセージ、カレンダーといった用途で使用し、それ以外のほとんどではiPhone(筆者個人の携帯だ)を使ってきた。最新バージョンのAndroidに搭載されているGoogle NowとAndroid通知はそういった状況を変えつつあり、それこそがAppleの懸念するべきこととなるはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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