高速なブラウザとコンピュータを好む、Googleのベテラン社員であるSundar Pichai氏は、新たに任命された「Android」の責任者としての仕事に素早く対応する必要がある。
最高経営責任者(CEO)のLarry Page氏は、米国時間3月13日のブログ投稿で突然、Pichai氏の新しい役割を発表した。Pichai氏はAndy Rubin氏が担当していた責任を負うことになる。一方Rubin氏は、「Googleで新しい章をスタートさせる」ためにAndroidのトップを降りることになっている。
「Chrome」ブラウザと「Chrome OS」をコンセプトの段階から、現在のより洗練されたバージョンまで指揮してきた人物であるPichai氏には、懐疑的な意見をはねのけて、プロジェクトをゼロから作り上げてきた実績がある。しかしAndroidでは、ほぼ間違いなくモバイル業界で最も影響力のある存在という、巨大な遺産を引き継ぐことになる。
Page氏はブログで「Sundarは、エコシステムの推進に向けたわれわれの取り組みにおいて、Androidにさらに大きく賭けるための素晴らしい働きをしてくれると考えている」と語った。
GoogleはPichai氏へのインタビューを許可しなかった。
Pichai氏が加わるのは、急速に変化し続けるモバイル業界の混乱期だ。Androidのエコシステムは強力ではあるが、「GALAXY S」シリーズによって、サムスン電子が事実上のAndroidの王者として浮上している(「GALAXY S IV」が3月14日に発表されている)。Rubin氏は一時、この韓国の巨大企業を脅威だと呼んでいたことがある。
同時にAndroid搭載スマートフォンを製造する多くの企業は、GoogleのモバイルOSからの脱却を目指して、Microsoftの「Windows Phone」や「BlackBerry」といった定評のあるモバイルプラットフォームから、Mozillaの「Firefox OS」やサムスンの「Tizen」といった新しいプラットフォームまで、さまざまな代替OSを探し求めている。
Androidの責任者の刷新は、多くの疑問を提起するものでもある。業界の一部の観測筋は、Pichai氏が新たな責任を引き受けたことは、ChromeとAndroidの統合を暗示しており、コンピュータとスマートフォンおよびタブレットの間のギャップを埋める可能性があると考えている。
それは骨の折れる仕事だ。調査会社のCurrent AnalysisでGoogleを担当するAvi Greengart氏によると、多くの外部の人間は、ChromeとAndroidのビジネスが互いに競争してきたと考えているという。これらのプラットフォームでは、基本としているコンピューティングの将来像が異なっている。ChromeがユニバーサルなHTML 5アプリケーションをクラウド環境で動かすのに対して、Androidでは、最適化されたネイティブアプリをデバイスにインストールする。Pichai氏の最大の課題は、この2つの世界をうまく調整して、これらを衝突させるべきか否かを決めることだろう。
同時に、Androidが持つ相当な勢いを保つこともPichai氏の仕事だ。このOSは、第4四半期にはスマートフォン向けOS市場の70.1%を占め、第2位であるAppleの「iOS」の3倍近い速さで成長している。
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