ワイヤレス業界における競争の熾烈さを示す実例として、「Android」とAppleに続く有力なOSを定着させる争いほど適切なものはない。これほど多くの大手企業にとって、3番目の地位を獲得することが非常に高い目標と見なされる分野がほかにあるだろうか。
しかしそれは正に、1ダースにものぼる数の企業が成し遂げようとしていることである。2013年のMobile World Congress(MWC)ワイヤレストレードショーでは、大きな話題を呼ぶスマートフォンやタブレットの発表はそれほど行われなかったが、新興のOSや、モバイルデバイスに対する新しい考え方が数多く登場した。
Mozillaの「Firefox OS」はMWCで大きな話題になった。サムスン電子やIntelの支援によって開発された「Tizen」も同様だ。米CNETが選出するMWC最優秀賞を受賞した「Ubuntu Touch」モバイルOSは、探すべき場所を知っている人が探せば、あちこちで目にすることができた。Jollaの最高経営責任者(CEO)であるMarc Dillon氏は、基調講演中に同社の「Sailfish OS」をさかんに宣伝した。NokiaはMicrosoftの「Windows Phone」プラットフォームを搭載する新しいスマートフォンを今回も発表した。一方、BlackBerryは数週間以内に米国で「BlackBerry Z10」をリリースする予定だ。
これは支配力を強めるGoogleのAndroidとAppleの「iOS」に対する当然の反応だ。IDCによると、2012年第4四半期における両OSの市場シェアを合計すると91%に達するという。業界の各社は公の場では互いに礼儀正しく振る舞っているが、通信キャリアやベンダー各社は支配力の一部を奪い返すために懸命に努力している。
筆者はそのような努力を賞賛してはいるものの、そのほとんどは失敗する運命にあると考えざるを得ない。先に紹介したOSのいずれかの出来が特に悪いわけではないが(ただし筆者が試用したFirefoxとTizenの初期ビルドはいずれも非常に粗削りだった)、どのOSもまとまったサポートが不足しているように思える。すべてがやみくもに見える。そのため筆者は、消費者と開発者、通信キャリアの巨大なサポートを受けているAndroidとiOSがしばらくの間は繁栄を謳歌し続けるだろうと考えるようになった。
Rutberg & Co.のアナリストであるRajeev Chand氏は先般行われたインタビューで、「今後、三強時代が訪れる可能性はあるが、プレーヤーが細分化された状況であればそれは実現しないだろう」と話した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」