第三勢力になる可能性がある企業の中で最も規模が大きいのは、MicrosoftとBlackBerryの2社だ。いずれも自社のOSが第三勢力になる理由について説得力のある主張を展開しているものの、通信キャリアによる献身的なサポートが不足していることが多くを物語っている。確かにAT&Tは「Lumia」携帯電話、そして関連する「Windows 8」製品を販売しているが、ほかの通信キャリアはAT&Tほど熱心だろうか。BlackBerryがどれだけのサポートを得られるのかは依然として不明だが、今後数週間のうちにもっと多くのことが明らかになるはずだ。
ほかのOSを調べてみると、サポートのばらつきはさらに顕著だ。MozillaはFirefox OSをサポートする通信キャリアを18社集めたが、実際に搭載デバイスを販売することを表明した通信キャリアはほとんどない。その一方で、さまざまな通信キャリアがTizenへの支持を表明している。彼らは同OSがハイエンドのスマートフォンに搭載されると考えている。
もう1つの問題は、第三のOSに対するニーズが業界の問題なのか、それとも消費者の問題なのかということだ。通信キャリアやベンダー各社がAndroidとiOSに対する依存度を減らすため、サポートするべき代替OSを欲しているのは明白だ。しかし消費者は本当にそれを気にしているのだろうか。現在のところ、ほとんどの消費者はAndroidとiPhoneの2つの選択肢があることで十分に満足している。
AT&T MobilityのCEOであるRalph de la Vega氏は、3つ以上のOSが混在できる余地があると考えており、消費者の需要が存在するのであれば、Firefox OSのようなOSにも可能性を残すと述べた。そして選択肢があるのは消費者にとって好ましいが、選択肢が増えすぎるのは必ずしも良いことではない。
「消費者にとっては、大きな混乱が生じるだろう。小売店に行くと、さまざまなOSが目に入るようになる。それは混乱以外の何物でもない」(Chand氏)
最終的には消費者は別の選択肢を強く求めるようになると筆者は考えている。「iPhone疲れ」の問題は既に現れ始めている。Appleが後続の製品に機能を付け足すだけの改善しか施さなくなったことで、特にそれが顕著になっている。そのため、何か別のものが台頭する余地が生まれている。
これらのOSのいずれかがその溝を埋めるのかどうかは、現時点では分からない。2013年のMWCの本質は、あらゆるものを壁に向かって投げ、どれが壁にくっつくのかを見極めることだったように思える。これから1年たっても、どのOSが勝者になるのかははっきりしないだろうと筆者は考えている。
勝者になるOSが業界から十分なサポートを得られることを筆者は願っている。さもなければ、第三のOSがなかなか定まらない状態が今後も続いてしまうだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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