GMOグローバルサインは2月27日、ネット選挙におけるウェブサイトや電子メールのなりすましを防止するために、候補者、国会議員および政党向けに認証サービスを提供すべく、同日から事前申し込みの受付を開始した。3月下旬をめどに順次提供する。
GMOインターネットグループのGMOクラウドの連結会社となるGMOグローバルサインは、1996年にベルギーで電子認証サービスを開始し、ベルギー政府主導の国民IDプロジェクト(eID)はじめとするベルギー政府認証局として展開。2006年からGMOグループに参画し、日本発の世界基準認証局としてサービスを提供している。現在では世界9カ国の40万枚以上のSSLサーバ証明書発行実績を持ち、国内シェア1位を獲得している。
今回、世界的に展開されているインターネット選挙運動の現状と、日本において公職選挙法で禁止されているネット選挙が、解禁に向け議論されている状況を踏まえてサービスの提供に踏み切った。
GMOインターネット代表取締役会長兼社長 グループ代表の熊谷正寿氏は、「世界的な動きの中で、ネットによる選挙活動の必然性が高まっている。今回の取り組みは、今後のネット選挙運動、そしてネット投票へのひとつのきっかけになる」と説明する。
国会議員やその候補者のなりすまし対策としては、現在TwitterやFacebookなどの各事業者がいわゆる「公認マーク」を提供している。しかし一方で、ウェブサイトや電子メールに関してはそういった対応策が練られていないのが現状だ。こうした状況を改善し、健全なネット選挙運動の実現を図ることを目的にする。
今回のサービスでは、なりすまし防止や偽メール対策のための電子証明書を発行する。国会議員や候補者、政党のウェブサイトには専用のサイトシールも提供。これによって、ユーザーはなりすましのないメールや公式サイトを確認できるとしている。
料金は、サイト認証が政党向けで年間1万500円、国会議員向けで5250円、候補者向けで840円。国政に関わる場合、政党への寄付の形を取ることで事実上の無償提供となる。現在の政治資金規正法においては、企業から政治家個人への献金等の提供は禁止されているため、政党以外の候補者や個人への提供はできないためだ。
また、資金提供は法人の資本金をもとに寄付額の上限が定められているため、資本金5億円未満のGMOグローバルサインの政治献金額は年間750万円までと制限されている。そのため、ウェブサイトの電子認証のみ「政党への寄付」とみなして無償提供するが、電子メール証明書に関しては有償提供となる。
今回の取り組みに関しては国政にのみ対応するため、地方選挙まで寄付でまかなうことはできない。だが、通常の法人向けの電子認証と比較して、安価に設定しているという。
「ウェブサイトや電子メールの認証は、世界的にも電子証明書の発行が進んでいる。今回の取り組みはビジネスとしてではなく、電子証明書自体の認知拡大、閲覧者や関係省庁といった一般の方々に対しても電子証明書の理解や意識を高めるための普及だと位置づけている」と、GMOグローバルサイン常務取締役の武信浩史氏は語る。
すでに自由民主党や民主党、日本維新の会、みんなの党での採用が決定しており、その他の政党に関しても協議を進めているという。導入に対しては、インストールやサーバサポートなどの提供もGMOグループ全体で担当し、来たるネット選挙実現に向けての環境整備を展開していく。「安心安全なネット選挙を提供することが、民間としての務め。トラブル発生が起こる前に事前にできることを実施していく」(熊谷氏)。
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