あなたはもしかすると、「Tizen」について聞いたことがないかもしれない。だがその背後にいるのは、テクノロジ業界で最も聞き覚えのあるブランドに数えられているいくつかの企業だ。
Tizenは、NokiaやIntelによる、失敗に終わったMeeGoイニシアティブや、サムスン、Verizon Wireless、VodafoneによるLiMo Foundationの遺産を引き継いでいる。現在TizenはサムスンとIntelの直接の管理下にあり、この2社は、「Android」よりもオープンでカスタマイズ性が高いと主張するOSの開発を進めている。
Tizenが生まれたのは、ある意味では、GoogleのOSであるAndroidの支配と影響力の高まりに対する反動としてであった。「Linux」ベースでHTML 5を採用しているTizenを利用することで、無線通信事業者は独自のサービスを提供し、カスタマーエクスペリエンスをGoogleから取り戻すことができる。強まりつつあるAndroidへの依存状態から携帯電話ベンダーが脱却し、多様化を図るのにTizenは役立つだろう。同時に、Intelをワイヤレス端末向けチップの競争に参加させる可能性もある。
Tizenの名前は、今後数カ月間で、ますます頻繁に登場するようになるだろう。2013年末までに、Tizen搭載の携帯電話が徐々に市場に登場し始める予定だ。サムスンは、2013年に最初のTizen搭載携帯電話を販売することを確約したと報じられている。最初の端末は2013年下半期に発売される可能性が高い。ただし実際に米国で発売される時期については、現時点では不明だ。
リリース後のTizenは、それを支える開発者を確保する努力から、飽和状態の市場でなんとか注目を集めることまで、あらゆる新規OSが直面してきたのと同じ課題に直面するだろう。2013年にはMicrosoftが、「Windows 8」と並行して、「Windows Phone」の売り込みを強化すると予想されている。一方、Research In Motion(RIM)は1月中に、次世代OSの「BlackBerry 10」と、このOSを最初に搭載する携帯電話2機種を発表予定だ。ほかの取り組みとしては、「Ubuntu」のモバイルOSや、Mozillaの「Boot to Gecko」イニシアティブなどがある。
しかしTizenはその背後に大きな資産がある。それは、低迷していたサムスンのスマートフォンビジネスを、わずか数年間でほかをはるかにしのぐ現象へ変えた、同社のマーケティングと技術的能力だ。
InfoneticsのアナリストのJulien Blin氏は、「Tizenプラットフォームの受容と認知が進むかはサムスン次第だ」と語っている。
Tizenは、Androidにも提供できないレベルのカスタマイズ機能を提供する。Androidはオープンではあるが、Androidを使用する携帯端末ベンダーや通信事業者は、断片化を防ぐために、合意した一連の規則に従わなければならない。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果