1月7日~1月13日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。2013年第2回目になる。
今回は、米国ラスベガスで開催された世界最大の家電展示会Consumer Electronic Show(CES)2013が開催された週だ。Appleは、1月末にサンフランシスコで行われるMacworld/iWorldにも参加しておらず、こうした大規模な展示会に合わせてリリースするという戦略から離れている。スケジュールされているのは毎年6月にサンフランシスコで開催されるApple主催の年次開発者イベント、WorldWide Developers Conference(WWDC)くらいだろう。
奇妙なことに、先週からiPhone miniに関する話題が飛び交っており、素材が金属からポリカーボネイトになるといったデザインの話や、価格が99ドル~199ドルになると行った話が記事になった。ところがAppleのワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデント、フィル・シラー氏がこれをきっぱりと否定している。この「きっぱりと否定」したと伝えられた記事のニュアンスが、弱い否定に訂正されるなど、情報がやや錯綜している感もある。
Apple役員による否定は、これまでの経験上、注意深くとらえる必要がある一方で、こうした噂と否定がちょうどCESと同じ週に展開されたことは、偶然ではないかもしれない。
それでは、先週のニュースを振り返っていこう。
今週は廉価版のiPhoneの話題、そして中国最大の携帯電話会社であるChina Mobile会長とAppleのティム・クックCEOとのトップ会談など、例年からすると「季節外れの」iPhoneの話題が取り沙汰された1週間だった。同時に日本でも、1月10日に、国内最大の携帯電話会社であるNTTドコモの加藤薫社長が「条件」が合うことを前提に、iPhoneの採用に意欲という記事が流れている。
China Mobileの3G/TD-LTEはともに、現在世界標準になっているW-CDMAやCDMA2000、LTE(FDD-LTE)とは技術的に違うものを採用しており、そのままのiPhoneで高速通信に対応させることはできない。しかしここは通信チップの対応でクリアできる話であり、それ以外の交渉、例えば通信費やApp Storeの利益の折半などの交渉が必要だと見られている。もしもChina MobileとAppleがこの条件に折り合いをつけるとすれば、契約規模や影響力にもよるが、その他の国の携帯電話会社がiPhoneを採用する際のオプションが増えるかもしれない。
非常に短絡的に考えれば、2013年中に発売するかもしれないと噂される廉価版のiPhone、あるいはスケジュール通り登場するであろう次世代iPhoneが、China Mobileに対応することが期待される。Appleのフィル・シラー副社長は、廉価版iPhoneを否定するコメントの中で「Appleはスマートフォン市場でわずか20%のシェアでありながら、利益シェアは75%を獲得している」と指摘しており、廉価版ではないiPhoneが中国に導入されることの方が、ブランド面や利益面、製造面でAppleにとって都合が良いはずだ。
ただ、廉価版iPhoneの報道で情報が錯綜気味だ。通信社Reutersが1月10日に出したシラー氏による否定のコメントをいったん取り下げる事態となった。これは、引用元のShanghai Evening Newsが内容変更をして訂正されたことに端を発するが、この内容変更で、シラー氏の発言について、「廉価版を出さない」から「闇雲にシェアを追わない」という表現に変更された。「きっぱり否定」から「やんわりと否定」にニュアンスに変更されたことで、今週はよく分からないままに終わってしまった。
中国市場や廉価版のiPhoneの他にも、米国第4位の携帯電話会社T-Mobileが3~4カ月以内にiPhone販売を開始すると同社CEOが明らかにするニュースが流れている。T-Mobileはプリペイド型の契約に強いキャリアで、公式にiPhoneを提供していないものの、海外から持ち込まれた物やSIMロックフリー版など、iPhoneのユーザーが既に200万人弱に上っていることが明らかになっている。
T-Mobile、3~4カ月のうちにiPhoneを提供開始へ--CEOが明らかに(1月8日)Appleは今週、App Storeでのダウンロード総数が400億本に達したことを明らかにした。これはダウンロード済みのアプリの再ダウンロードを含まない数字であり、200億本近くが2012年中にダウンロードされたことになる。
App Storeは2008年のiPhone 3GS発売と同時に提供が開始され、これまでに77万5000本を超えるアプリを取りそろえている。有料アプリの課金にも対応し、開発者7割、Apple3割で世界中に自由にアプリ販売が行えるプラットホームとなり、既に開発者らに70億ドルを超える金額を支払ってきた。
App Storeの最大の強みは、他のプラットホーム以上にアクティブなユーザーを抱えていることで、Appleによるとその数は5億件を超える。有料アプリのダウンロードにも応じてくれるユーザーを世界中に抱えていることは、開発者にとって魅力的な環境であると言える。
そんなApp Storeのガバメントや検索など、よりアプリをダウンロードしてもらいやすくする環境を整備することは、今後もAppleの重要な役割になっている。子ども向けのダウンロード制限や、プライバシー・セキュリティの強化、そしてアプリによる著作権侵害の防止や、アプリのクオリティを高く保つことなど、Appleはユーザーや開発者との対話を今後も重ねていくことが大切だろう。
アップル「App Store」、アプリダウンロード数が400億本に--ほぼ半数が2012年中(1月8日)CES2013では4K、もしくはウルトラHDと呼ばれる、現在のハイビジョンの4倍の解像度を表示するテレビが話題を集めていた。昨年までの3Dのトレンドはどこに行ったのか分からないが、3Dにしても4Kにしても、これまで以上に映像が大容量化することを意味しており、ディスプレイが開発・販売可能になることとは別の問題が出てくる。
それは、どのようにしてテレビに映像を送り込むかと言うこと、そしてどのように映像を蓄積するか、ということの2点だ。
例えばニュースにあったUSB 3.0の高速化や、Thunderboltの活用だけでなく、現在100Mbpsを超えるスピードに到達しているWi-Fiをさらに1Gbpsまで高速化する802.11acなど、記憶媒体からテレビへの映像伝送に関わる技術革新がより活発になるだろう。
日本では、光ファイバーのインターネット回線で理論値上100Mbpsの転送が利用できるが、米国ではこうした高速回線のインフラは一般的ではない。Googleなどが都市を限定して1Gbpsのファイバー回線を提供し始めているが、この流れが全米に拡がって、しかもテレビにつながるまでには時間がかかりそうだ。
高解像度の映像を表示するデバイスとそれを伝送の技術や環境に無関心でいられないのがAppleだ。テレビデバイスに参入すると見られているが、インターネットやアプリを活用した新しいスタイルを提案することが見込まれており、その際にはこうした高解像度の映像と無縁ではないはずで、米国での体験を主と考えると、ネットを使った高解像度映像の伝送をどのように実現するかに注目していきたい。
「USB 3.0」の倍速化規格、2014年に登場か(1月7日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」