12月10日~12月16日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
日本では総選挙で再び政権が交代する見込みとなった週明けを迎えた。米国でも1カ月前に大統領選挙があったが、モバイルやソーシャルと言った新しいメディアが精力的に利用されていた米国の選挙戦とは違う様相を見せていた。日本のように誰もがアクセスできるメディアのみを利用するという公平性と、使うメディアも含めて国民の意思と支持を集める競争性の違いを見たようであった。
そんな米国では、先週、モバイルアプリがこどものプライバシーなどの安全性に配慮していないという指摘が広まっていた。モバイルOSやアプリベンダーの責任の指摘だけでなく、どのように親やこどもに学んでもらうか、という議論があった点も注目すべき動きだろう。教育に親和性を見せてきたAppleが、どのような対処をするのか、注目すべきだ。
では、1週間のAppleニュースを振り返ろう。
2012年を総括する数字が多数出てきている中で、今年はAndroidが台数としてもブランドとしても、スマートフォン市場の支配を強くすることが決定的になった1年だったと言える。2012年第3四半期、世界市場でAndroidは75%のシェアを占めたとのIDCのデータからも明らかだ。
ただAppleがiPhoneについて大きな失敗をしたというわけでもない。iPhone 4SからiPhone 5へのバトンタッチは特に問題なく、米国の雑誌でもベストガジェットとしてiPhone 5が選ぶ媒体が少なくない。同じIDCのデータでは、AppleはSamsungよりも出荷台数は2000万台ほど少なかったが、デバイスの単価が300ドル高く、売上は首位であるとの結果が出ている。
この高価格、高付加価値の路線はAppleブランドを維持する上でも重要な上、ビジネスの面でも、今後新しいテクノロジを導入したり、生産拠点を中国から移す際のリスクを軽減してくれることになるだろう。
また興味深いのは、Googleのエリック・シュミット会長が「AndroidとiOSは、20年前のMicrosoftとAppleの競争に匹敵」という見方を示している点。ご存じのように1990年代の争いで、AppleはWindowsを擁するMicrosoftに、助け船を出してもらうまでに負けている。この歴史が繰り返されるとすれば、iOSよりAndroidにより明るい未来が待っているということになるのだが。
一方、OSとデバイス以外への種蒔きをGoogle、Apple共に行っている。モバイル決済、地図などの位置情報の2つは、特に2013年注目が高まる領域になるはずだ。テクノロジからライフスタイルへ、斬新さから現実の便利さへ、こうしたトレンドの中での動きにも注目していきたい。
モバイル決済のSquare、ギフトカードサービスを提供開始(12月10日)Appleのティム・クックCEO、Googleのラリー・ペイジCEOなど、年末にかけてテクノロジ企業のトップがインタビューに答えた記事が増えている。ティム・クック氏はAppleの経営と政治について言及しており、政治的な駆け引きを軽蔑し、時間の無駄だと指摘している。また政治は人から活力を奪うとの言葉にも共感できる。
またラリー・ペイジ氏はAppleの故スティーブ・ジョブズ氏との関係に触れ、ジョブズ氏がGoogleに向けていた怒りは必ずしも心の底からというわけではなかったとの認識を明らかにした。ペイジ氏は部下たちを鼓舞するために利用していたのではないかと述べ、クック氏とジョブズ氏のマネジメントの違いに触れる2本の記事となった。
アップルCEOのT・クック氏、自社に対する思いや経営理念を語る(12月12日)AppleがiOSで採用した自社のマップは、ついにオーストラリアの警察が警告する事態に発展した。地図データの間違いによるもので、救助が必要になる事態を招きかねないとのことだったが、これは紙の地図でも、Googleマップでも起こりうることかもしれない。
そんな中で、いよいよ、ユーザー待望のiOS向けGoogle Mapsがリリースされ、すぐにApp Storeで無料アプリのトップになったが、今回リリースされたのはiPhoneに最適化されたバージョンのみ。iPad向けは今後のバージョンアップで対応となった点は残念だ。しかしApple版の経路検索で公共交通機関の検索がなくなってしまった事を考えると、Google Mapsで今までのスマートフォンと地図の体験を取り戻すことができ、多くのユーザーにメリットがある。
AppleはMicrosoftとの間で、App Storeでの課金に対して他の開発者のルールをそのまま適用するとの態度を示しているが、自社アプリと直接競合する地図についても、App Storeのルールを通した点は評価すべきかもしれない。もっともGoogleは、iPhoneでは「サードパーティー」として地図アプリを提供するため、地図データ以外の使い勝手も含めて、Appleの地図アプリより優れている必要がある点を認識しているだろう。
一方で、Appleは、もちろん地図データについて充実させていく点はもちろんだが、それ以外のAppleならではの地図アプリの優位性をいかに作っていくかも注目だ。
競争は始まったばかりだ。
豪警察、アップル地図アプリに頼らないよう警告--ドライバーが荒野に迷い込む事例受け(12月11日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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