通信障害から始まりソフトバンクの海外進出と波乱に満ちた2012年だったが、中期戦略の土台作りが着実に行われた1年だった。2012年の戦略を引き続き行うとした上で、下記4点が2013年の焦点になると考える。
来年の動向の中で一番注目を集めるのはドコモがiPhone5を取り扱うかといった視点だろう。業界関係者の間では、iPhone5による新規顧客獲得という観点より、顧客流出がドコモの財務状況を悪化させる言わば「流血」を防ぐために、iPhone5を採用せざるを得ない状況になるのでは無いかとする見方が多い。
例年大量のキャリア移動が発生する3月、もしくはiPhone5の後継機発売のタイミングに発表があると見る関係者は多い。もし、この2つのタイミングでドコモがiPhoneを扱わないのであれば、ドコモには相当の覚悟があり、今後ドコモがiPhoneを扱う機会は訪れないのでは無いだろうか。
各社LTEへの移行、周波数が横並びとなり通信品質での差別化は難しくなってきた。設備投資を削減し、その予算はマーケテイングコストへ転換する兆しが表れるのではないかと予測する。2012年まではフィーチャーホンからスマートフォンへの移行の年だったが、2013年はLTEへの移行を促す年になる。LTEの時代は通信上限が各社横並びで設定された時代でもあり、今後従量課金制に移行するのかが注目される。
ソフトバンクがAT&T、ベライゾン相手にどのようなプランで戦いを挑むのか。国内だけにとどまらず世界中から注目を集める1年となるだろう。
大元隆志
ITビジネスアナリスト/顧客視点アドバイザー
通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。講談社 現代ビジネス、翔泳社EnterprizeZine、ITmediaマーケティングなどIT系メディアで多くの記事を執筆。所有資格:米国PMI認定 PMP、MCPC認定シニアモバイルシステムコンサルタント。
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