日本のワイヤレスプロバイダーであるソフトバンクは、Sprint Nextelを201億ドルで買収することに合意し、米国市場に進出するという非常に大きな賭けに打って出た。
数日にわたって憶測や報道が流れた後、両社は米国時間10月15日午前、買収が事実であることを認めた。ソフトバンクは、今でも成長の機会があると同社がみなす米国市場での大きな足がかりを得た。一方、Sprintは新たな延命手段を得て、改善を続ける上でのより大きな支援を手に入れた。
しかし、これは米国において一般の顧客にとって何を意味するのだろうか。今回の買収は、Sprintの日常的なサービスに何らかの影響を及ぼすのだろうか。米CNETはそうした疑問に答えるために、以下の通りFAQをまとめた。
--今、何が起きているのかをもう一度説明してほしい。
日本でワイヤレスサービスおよび固定回線サービスを提供し、複数のモバイルおよびインターネット企業を所有するソフトバンクが、Sprintの企業支配権を取得することに合意した。この取り決めの下で、ソフトバンクは株主に121億ドルを支払い、ネットワークアップグレードなどの強化のためにSprintに80億ドルを投入する。
この買収の結果、新しいSprintが誕生し、同社の株式は今後も市場で取引される。この買収は少し複雑だ。ソフトバンクが支払う121億ドルは、Sprintの発行済み株式55%の取得に使われる(1株当たり7.30ドルと評価)。ソフトバンクの別の現金注入は、複雑な取引を通して、Sprint株の残りの45%を新会社の株式の30%に変換する。残りの株式はソフトバンクが保有することになる。
投資家は、Sprintの現在の株価である5.75ドルに30%を上乗せした価格で現金を今手に入れるか、それとも、Sprint単体よりも大きな成長の可能性があるソフトバンクとの新会社に賭けるかの選択を迫られる。
新会社は独立部門として機能し、現在Sprintの本社があるカンザス州オーバーランドパークを今後も拠点とする。Sprintの最高経営責任者(CEO)であるDan Hesse氏と同氏の経営チームは、これまで通り新会社の経営に携わる。
--Sprintは大企業のはずだが、なぜ今回の買収が必要だったのか。
Sprintは確かに大企業ではあるが、極度の財政難に陥っている企業でもある。同社は第2四半期終了時点で5600万人の顧客数を誇っていたが、同時に13億7000万ドルの損失も計上しており、第3四半期には損失がさらに拡大するとみられている。
Sprintは現在、高いコストをかけて数十億ドル規模のネットワークアップグレードプログラムを実施し、競合他社に対する競争力を強化しようとしている。また同社は膨大な台数のAppleの「iPhone」を販売しているが、iPhoneの販売台数が増加するたびに高いコストが発生している。例えば、「iPhone 5」の発売に続く数四半期の決算は、低調になると予測されている。デバイスが売れるたびに多額の販売奨励金を支払わなければならないからだ(iPhoneを販売するすべての通信キャリアが同じ問題に直面している)。そうした財政面での悩みに加えて、多額の負債を抱えており、その一部は数カ月以内に満期を迎えると見られている。
ワイヤレス業界では、会社の規模が大きくなればなるほど、財政状態が改善される。Verizon WirelessやAT&Tが何年もかけて多くの小規模企業を吸収したり、AT&Tが2011年にT-Mobile USAの買収を試みたりした(失敗に終わったが)のはそのためだ。その一方で、T-MobileはMetroPCSとの合併に合意したため、Sprintは米国内で提携相手として見込めそうな相手を失った。
Sprintは4G LTEの配備に関しても、AT&TとVerizonの後塵を拝している。80億ドルの現金注入によって、Sprintは独自のネットワーク強化を進められるはずだ。
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