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通信業界をめぐる2012年10のトピックと来年の展望 - (page 2)

大元隆志(ITビジネスアナリスト)2012年12月25日 13時14分
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5. iPhone 5により好調なスタートとなったLTE市場

 2012年9月21日に発売されたiPhone 5はLTE対応であり、急速にLTE市場を拡大している。iPhone5の国内販売台数は公表されていないが、TCAの発表する9月以降の携帯IP接続サービスのソフトバンクモバイルとKDDIの合計数は116万件であり、この半数がiPhone 5だと仮定すると58万回線が増加していると考えられる。2010年12月に他社に先行してドコモのLTEサービス「Xi」が開始されたが、1年間で114万契約となった。iPhone 5単体だけで見てもわずか3カ月で急速に市場が出来上がっていると考えられる。

 iPhone 5の貢献はLTE市場の拡大以外にも実は「値上げ」も許容させるほどの人気ぶりを発揮した。3Gモデルのパケット定額サービスはソフトバンクモバイルが4410円、KDDIが5460円、ドコモが5460円となっていた。

 しかし、iPhone 5でLTEを利用したパケットサービスはソフトバンクモバイルが5460円、KDDIが5985円となっており、KDDIが微増、ソフトバンクモバイルは大幅な「値上げ」となっているがLTEによる回線速度向上、iPhone5の完成度の高さにより「ユーザーも納得の行く値上げ」に成功した。

6. ソフトバンクの海外進出

 最も印象に残ったニュースと言えば、ソフトバンクの米スプリント買収だろう。日本のキャリアは「内需産業」という常識から抜け出し海外へ、しかも今後の成長が期待されるアジアでは無く市場が飽和していると考えられていた米国へ進出したことで大きな驚きを与えた。

 今後はLTEの値上げ施策から片鱗を感じるように、国内市場はキャッシュフロー重視の経営に変化させ、海外でアグレッシブなブランド展開を行うことが期待される。

7. 問われるキャリアメールの価値

 国内3600万人を超えるユーザーを獲得するなど、NHNが提供するLINEの躍進が目覚ましい。LINEの成功に続けとDeNAがComm、カカオジャパンがヤフーと連携してカカオトークをリリースし、音声無料通話アプリが市場に認知される年となった。

 無料音声通話機能を引き合いに出されることが多いこれらのアプリだが、無料通話アプリは国際通話の収益を大きく減少させるが、国内通話に限れば法人間、店舗への電話などそう簡単に置き換えることはできない需要も存在する。コンシューマー間の通話は既にキャリア内無料通話が当たり前の状態であり、そこから得られる収入は限定的なものであった。むしろこれらの無料通話アプリがスマートフォン購入動機につながればデータARPUを上昇させる要素になる。

 キャリア視点では本質的にはメールを置き換える手段であることに注意すべきだろう。ほんの一昔前までは飲み会などでメールアドレスの交換、Facebookの友達申請が行われる光景を良く見かけたが、最近はLineで友達申請を行う光景を見かけることが多くなった。「ふるふる」機能で簡単にID検索を行えることが特に女性に受けているという。

 キャリアを変更する場合にMNPにより電話番号は移行できるようになったが、メールアドレスを移行することはできなかった。だが、スマートフォンになりLINEで友達とつながればメールアドレスにより移行をためらっていた人もキャリアを簡単に移行できる。メールアドレス以外に顧客をつなぎ止める施策を検討する必要があるだろう。

 また、今後はSNSなどのコミュニケーションツールの台頭で個人による携帯メール利用は減少し、通知や網機能の呼び出しのシステムへと役割が変化すると予想する。

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