アップルの「修理請負人」E・キュー氏--その人物像と期待される役割 - (page 4)

Greg Sandoval (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年11月07日 07時30分

 ある音楽業界の幹部は次のように語る。「彼がそうした対応を取って以来、両者の関係はかなり良くなっている。つまり、誰もが武器を取り出そうとしている時に、Eddyは賢明なやり方でそれに対応したため、音楽業界の好戦的な人々はすっかり戦意をなくしてしまったということだ」

 2009年12月、Appleは、レコード会社が楽曲価格を1.29ドルに値上げし、同時に一部の楽曲を79セントに値下げできるようにすると発表した。それと引き換えにレコード会社は、批判が大きいデジタル著作権管理を自社の楽曲に適用しないことに合意した。

 しかしCue氏は、一部の出版社との間では、レコード会社との関係と同じような良好な関係を築いていない。2011年に、Cue氏との交渉で不満を抱いた出版社の幹部は、Adweekに対して、Appleは「通常の行動規範にのっとって事業を行っていない」と語った。

Cue氏の経歴

 Cue氏は、エンターテインメント業界で最も優れたチェスプレーヤーの1人だ。しかし彼の経歴には、象徴的なエンターテインメントハブを構築したり、Jobs氏という厳しい上司に仕えたりといった仕事の下地になったように思えるものはほとんど見当たらない。

 Cue氏はマイアミで育った。フロリダ州コーラルゲーブルスのディアーボーン高校では、バスケットボールの学校代表チームのメンバーだった。高校時代の同級生のDanielle Morano Salman氏は、Cue氏は人気者だったと語る。「彼は目立っていた。いつも選抜クラスにいた。誰とでも仲が良くて、自分自身のビジョンをいつも持っていた。自分はデューク大学に行くのだと決めていた」(Salman氏)

 Cue氏はデューク大学で経済学とコンピュータサイエンスの学士号を取り、1986年に卒業した。同校のバスケットボールチーム「Blue Devils」は、同氏が情熱を注ぐものの1つだ。同氏のオフィスは、デューク大学のかつてのスタープレーヤーたちのポスターや写真で埋め尽くされている。Cue氏はデューク大学のベンチにいるところを撮影されたことがある。同校の伝説的なバスケットボールコーチのMike Krzyzewski氏は、自分とCue氏は「親しい間柄だ」と語っている。

 同氏は米CNETに、「彼は信じられないほど熱心で、非常に情熱的で、大変な競争者だ。これらはすべて、コーチとして、あるいはビジネスの世界で成功するために重要な特質だ」と語った。

 Cue氏は、1989年にAppleに入社して、IT部門に所属すると、すぐにソフトウェアエンジニアリング部門とカスタマーサービス部門を統括する仕事へと昇格した。1998年には、Appleのオンラインストアの構築に尽力した。

 2003年4月28日に、「iTunes Music Store」(現在は単に「iTunes Store」と呼ばれている)がスタートした時、Cue氏はそれを指揮する立場だった。このウェブ上の小売店が持つ輝かしい成功は、今ではシリコンバレーの伝説になっている。開始後の1年強で、1億曲が販売された。3年後には、iTunes Storeでの販売数は10億曲になった。2012年9月の時点で、iTunesでは200億曲超が販売された。

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Eddy Cue氏(前列左から2人目)はデューク大学の卒業生で、同大学のバスケットボールチーム「Blue Devils」の大ファンだ。同チームのコーチMike Krzyzewski氏は、Cue氏がチームのベンチに座ったこの夜は、「彼が大人になってから初めてネクタイを着けた時」だったかもしれないと冗談を言った。
提供:Duke Blue Planet

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