黒川氏が、今後の開発スタンスについて「会社が大きくなると、この姿勢を貫くのは大変なのでは?」と問うと、森下氏は基本的な方針を変えるつもりはないとしながらも「いつまでも企画の最初から入って最後まで見続けるのも問題はあるとは思います。ただ、こうしたら面白くなるという何かが降りてくる感覚があって、それがある限りは続けたい」と意欲を示し、さらに潮時と感じるまでにクリエイティブジャッジができる人が出てくればと、期待をかけていた。
小規模ではなく株式公開までしている規模ながら、社長自ら開発までに踏み込む会社は無いのではと黒川氏が問うと、山本氏も「聞いたことがないですね」と答え、田中氏も企画や開発を重視している姿勢については「結果がついてきているからこそできること」と同調した。
スクウェア・エニックスを退職して以降、動向に注目が集まった田中氏について黒川氏が現状を問うと、現在は1回目の企画提案を行った段階で「折角ガンホーという新しいところにいて、新しいことができる状況にあるので、今までにないオンラインゲームを作りたい」と意欲を示した。
締めくくりとして、黒川氏からゲストに対して、エンターテイメントを作り出す人たちへのメッセージを求めた。山本氏はソーシャルゲームに対して、ゲームを遊ばない人たちに触れるきっかけや、引き入れた功績は大きく素晴らしいことであると、2~3年前の状況においては評価したものの「今のコピーだらけの、ソーシャルカードゲーム市場は好きではない。市場を作るのではなく、消費している感じがある」と指摘。「10年後も一緒にゲーム業界を盛り上げていける人たちと、切磋琢磨しながらやっていきたい」と語った。
飯田氏は現在、NHN JapanのLINE Game向けにスマートフォンゲーム「イージーダイバー」を年内配信予定で開発中。海を散策していくゲームで、同氏の代表作である「アクアノートの休日」を彷彿させるものだという。これに触れ「これまでの仕事はマスターROMを納品するまでだったので、マネタイズをどうすべきかわからず悩んでいたんです。今日の話を聞いてあまり考えないほうがいいのかなと思いました」と率直な感想を述べていた。
田中氏は「今後のオンラインゲームの未来、そしてゲーム業界全体のために貢献できたらと思って飛び出したので、ガンホーにはいい若手の人材もいますから、彼らの手助けになれたら」と話した。
森下氏はゲームを作ること、しいては面白いことを作ることに対して「自分で感じるしかない。なんとなく見えてくるものだと思うけど、それが正解かどうかというとそうでもないかもしれないし、時代の流れによって変わる」と述べ、さらにそれが面白い業界でもあるとした。
黒川氏は総括として「KPIやマネタイズの話は出てくると思います。それは必要ではあるけれども、エンターテイメントではない」と切り出し、「本当に必要なのは、何が面白くてお客さんにどう伝えるか、そして付加価値を高めていくか。理想論かもしれないですけど、そこがブルーオーシャンであればきちっと成立すると思います。僕もゲームをどう作るのかを、今一度振り返って考えてみたい」と締めくくった。
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