ゲーム開発にKPIやマネタイズは禁句--「パズドラ」を生んだガンホーの開発姿勢 - (page 3)

ヒットを後押ししたオンラインゲームの運営経験

 「面白さに共感していただいたユーザーや媒体が広めてくれた」(山本氏)というパズドラで、それを後押ししたのが運営面。何かトラブルがあったときに、有料アイテムである魔法石を配布するなど、ユーザーがむしろトラブルを期待してしまうほど手厚くしている「神サポート」については最初から意図しており、ラグナロクオンラインで10年近く運営していた経験とノウハウが非常に強力で、さらに伸びた一因であったと山本氏は分析した。

 森下氏はラグナロクオンラインの運営について「成功モデルや事例としてあったものがなく、手探り状態だった」と振り返った。失敗もありユーザーから罵倒の言葉を浴びせられたことも多々あったとしつつ「そこで試行錯誤しながら、サービス運営とはいかなるものかが、会社として染み付いているんです」(森下氏)。さらに、ラグナロクオンラインでユーザーの声を直に聞くために全国行脚をしたことを例に出し「地道な活動でお客さんの声を拾うことが大事。それでも100%のサポートには程遠いけど、お客さんがゲームを作ってくれて、世界を維持してくれているので、少しでも溝を埋める努力をしなければならない」と語った。「これが正解というのも持ってないし、僕らのやり方なだけ」と森下氏が付け加えたが、飯田氏は「10年間の苦労が土台としてあり、それが結実した結果」と賞賛した。

黒川文雄氏
黒川文雄氏

 10月8日から人気アプリ「ぐんまのやぼう」とのコラボが行われており、この裏話も山本氏から語られた。作者であるRucKyGAMES氏ととあるイベントであったのがきっかけであり、9月上旬に一度打ち合わせを行っただけで実行された。このスピード感にみなが驚いていたが、「お互いにゆるゆるで。運営もノリでやっている」(山本氏)であったことや、この件は森下氏に話を通さず運営チーム判断で進められたことからという。「運営に関してはノリノリでやればいい。失敗することもあると思うし、ユーザーに迷惑をかけたらきちんと謝らないといけないけど、いろんなことを経験していけばいいんです。そこで終わりという話ではないので」と、森下氏は運営に対する考え方を語った。

 面白いことをするというガンホーの社風を象徴するエピソードとして、8月25日に行われた浅草サンバカーニバルに、会社を挙げて出場したことも語られ、森下氏が創業直後から発案していたなど、しばらくサンバトークに花が咲いた。黒川氏が「会社の一体感を出すためにやったんですか?」と問うと、森下氏は「出てみたかっただけ。そのお金と時間を、なぜパズドラのプロモーション費用にあてなかったのかなと思います」と笑いを誘ったが、実際には普段会話をしない部署同士の交流や、この会社は面白いと口にしていたなど、楽しんでくれたことの意義はあったという。田中氏はその光景を、旧スクウェアの勢いや雰囲気、一体感に近いと見て、懐かしいと感じたという。

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