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ゲーム開発にKPIやマネタイズは禁句--「パズドラ」を生んだガンホーの開発姿勢 - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2012年10月17日 11時45分
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ゲーム開発にとってKPIは邪魔にしかならない

山本大介氏
山本大介氏

 パズドラを生み出した山本氏は、開発について「作りたい企画を、ノリと勢いだけで作るスタイルなのであまり深く考えてない」と謙遜したが、強調していたのは、近年隆盛を極めるソーシャルゲームにおいてKPI(業績評価指標、ここでは個々の従業員の評価ではなくゲームの収益性を指す)を重視し、それに基づいた開発や運営が行われている現状だ。「マネタイズやKPIは正直うるさいと思うし、ゲーム開発にとってKPIは邪魔にしかならない」と断言。もちろんデータ分析などが不要と言っているのではなく、ユーザーからお金を取るという、すでにある仕組みの上でしか企画が考えられないから邪魔だと指摘する。パズドラに関してはアイデアありきから形にしていくという、コンシューマゲームに近い開発手法が取られ、アルファ版までマネタイズも一切考えないスタンスで作りきったことが良かったと自己分析した。

 森下氏も「ウチではKPIやマネタイズという言葉は使わせない」と、この考え方を後押しし、山本氏もガンホーに入って良かった点として挙げていた。さらに森下氏はソーシャルゲームについても作る意向はないという。「ソーシャルゲーム自体を否定しているのではなく、みんな同じようなことをするのは性に合わないだけ。天邪鬼なだけですけど、僕らはゲーム会社なので、何十年先もゲームを作り続けたい。なのでゲーム性をきちっと盛り込んで楽しんでもらえる作品つくりを心がけたい」(森下氏)。

 また森下氏の開発姿勢について、現在のところアイデアやオーダーを出すことがあっても、それを強制はせず、自分のやりたいと思うことのエッセンスなどを入れ込む程度にしているという。パズドラに関しても、山本氏がコンシューマ向けカードゲームを得意としていたことがあり「今までにないカードバトルゲームを作る」というお題のもと、上がってきた企画のひとつにパズドラの原型があったことを明かした。「強制をすると現場に魂が篭らないですから。現場から企画を上げさせることが重要」と森下氏は語り、山本氏も「強制されたら、そもそもガンホーにはいない」と、クリエイターにとっていい環境であることを語った。

飯田和敏氏
飯田和敏氏

 飯田氏はこれまでの話を聞き「人を楽しませる、面白いものを作ることに理屈はいらない」と、前回の黒川塾で語られた、プレイステーション黎明期のワクワク感が感じられたことと重なったという。そしてその面白さへの貪欲な気持ちがどこから来るのか森下氏に問いかけると、実は漫才師を目指していたという意外な過去を明かした。「面白くてナンボの世界、お客さんが喜んでくれてナンボの世界ですよね。人を楽しませるのがすごく好きですし、エンターテイメントを提供していく上では共通のことだと思います」(森下氏)。そして、面白いものを作りたいと思う人はたくさんいても、大事なことは最後までこだわりきれるかどうかだとした。社内アンケートをとる際に「すごく面白い」、「面白い」、「普通」、「つまらない」から、ほぼ全員が面白いと回答しても納得せず、すごく面白いという回答が出るまでブラッシュアップを続けたエピソードを披露し、最後まで妥協せずに作りぬけるかが重要と語った。

 その一方で、売れるか売れないかについて森下氏は「運だと思っています。時期やタイミングもあるので」と率直な意見を述べ、パズドラのヒットは山本氏とお互いに「運がよかったよね」と語っているという。これについて黒川氏が、口コミ効果や広がりを出すための対策について考えなかったのかを問うと、山本氏は一言「一切考えなかったですね」。さらにアプリがリリースされた2月から5月ぐらいまで、宣伝費をかけたプロモーションを行われなかったことを明かした。

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