お台場にある日本科学未来館にて、2011年8月から常設展示が行われている「アナグラのうた 消えた博士と残された装置~」。この展示は空間情報科学をテーマに、ゲームクリエイターによるゲーム的な演出を施し、映像、サウンド、インターフェイスなど連携させた物語性の高い展示となっている。
そもそも空間情報科学とはなにか。「アナグラのうた」公式サイトでは以下のように説明している。
「空間情報科学」。それは、私たちが暮らす実空間での人やモノのふるまいを計測し、その結果を計算して理解し合うことで、人々の暮らしを支援しようとする科学です。いうなれば世界のデジタルコピーをつくって、その中で次に起こることを予測して、あらかじめ、みんなが望む情報を用意したり、起こりやすい問題を回避しようという知恵です。人々から提供される情報が多ければ多いほど、その結果も充実した内容になります。「空間情報科学」が社会に浸透すると、世界が自分のことを知り、見守り、寄り添い、支えてくれるように感じるでしょう。
展示内容としては、約150平方メートルの空間で室内にはいくつかの装置があり、壁と床には映像が投影されるようになっている。床にはインタラクションができるようにセンサーが埋め尽くされ、中にいる人の位置情報を常にレーザーセンサーで検知し、行動をセンサリング。歩いたり何かを発見したり何かに触ったり…といった情報が記録され、最後に「しあわせ」という装置により、自分の情報を歌にしてボーカロイドが歌唱してくれるもの。自分の情報を資源にして歌が作られ、それがほかの人にも伝わってしあわせになる…ということを意図している。ちなみにここでは説明として紹介しているが、実際には事前説明が一切無いなかで、見たもの感じたものを楽しんでもらうといったものだ。
2012年6月22日、エンタメ系のコラム執筆などで知られる黒川文雄氏(NHN Japan所属)が主催・コメンテーターとして立ち上げた「エンタテインメントの未来を考える会 黒川塾(壱)」として、「『アナグラのうた 消えた博士と残された装置』におけるゲーム的アプローチと空間情報科学」と題したトークセッションが、サイバーエージェント・ベンチャーズにて行われた。本展示に携わったグラスホッパー・マニファクチュア所属のゲームクリエイター・飯田和敏氏、エウレカコンピューター所属のゲームクリエイター・犬飼博士氏、エウレカコンピューター代表の山下寿也氏、ブレインストーム代表のサウンドクリエイター・中村隆之氏により、制作時のエピソードをそれぞれが語った。
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