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「地図問題」への対処に注目集まる--松村太郎のAppleニュース一気読み

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 今週のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

 米国や日本などでiPhone 5が発売されてから1週間。販売する国をさらに拡大して秋の四半期を終えた。9月中に何台のiPhoneが出荷されたのか?そんな関心よりもAppleが「地図の問題」にいかに対処するのかに注目が集まっていた1週間だった。裏を返せば、iPhone 5+iOS 6に地図以外の欠点が見当たらないことも、地図問題が過熱している理由と見ることもできる。

iOS 6の地図問題 = Appleの対応にも注目

 まさに世界中を巻き込んだ「炎上」とはこのことだ。AppleがGoogleマップを使うのをやめ、iOS 6からは独自のマップアプリを提供し「最強の地図機能」とウェブサイトで紹介してきた。しかし実際には、その地図が最強ではないことは一目瞭然であり、弁護の余地はほとんどない。

 そんな状況の中、9月29日、AppleのTim Cock CEOはマップアプリについて公式に謝罪の声明を出した。そして、App Storeで提供されているApple製よりも優れた地図アプリを紹介し、またGoogleマップをSafariで開いてホームボタンに登録する方法を示した。App Store内にも地図アプリのコーナーを特別に設けている。

 Cook氏が主導するようになって、Appleは謝り慣れてきた、あるいは空気を読むようになってきているようだ。

 たとえば、7月に問題になったAppleの環境基準EPEAT脱退に関しても、これを訂正して復帰を決めている。そして今回も、地図が優れていないことを認め、サードパーティ製の地図をおすすめするという対処をした。

 また、iPhoneがAdobe Flashをサポートしないことについて、Steve Jobs氏は「Thought on Flash」という書簡を公開したが、ここではユーザーからの批判、あるいはAdobeを始めとするウェブ・クリエイティブ業界からの批判に対して、6つの理由を挙げ、サポートしないことを押し通した。Jobs氏なら、ターン・バイ・ターンのナビ機能を公開しなかったといわれているGoogleを批判していたかもしれない。しかし、Cock氏はそうしなかった。

 地図については、直近のユーザー体験の悪化と、将来的なプラットホームビジネスとを切り分けて考えておく必要がある。

 確かに直近の地図体験は非常に悪化した。見慣れた情報が満載の地図と衛星写真と、何よりストリートビューは、1日に1回以上は使っているし、「地図が読めないのは紙の地図のせいだった」と結論づけても良いほど、iPhoneのGoogleマップは使いやすかった。こうした4年間の慣れと便利さが一気に消失したことは、ユーザーにとって負担以外の何物でもない。

 Flashの時もそうだったが、Appleが業界標準に対して「No」という場合、プラットホーム戦略上譲ることができない領域であると読み取ることができるだろう。

 位置情報、ローカル情報、そして人々が街の中でどのようなものに興味を示し(POI:Point of Interest)、どのように動き、どのように街中でコミュニケーションを取るのかということは、Passbookのことを考えても、重要な「プラットホーム」になってきている。

 今回謝罪をしたAppleだが、早急に標準の地図アプリの改善を行う必要がある。それだけでなく、なぜGoogleマップではだめだったのか、Appleは地図を独自のものにして、ユーザーにどんな体験を与えたかったのか、早く示す必要があるし、期待を寄せているところでもある。

 まだ、そんなに手遅れではないはずだ。

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iPhone 5を解剖する

 マップ以外に死角はないか、と見られているiPhone 5とiOS 6のコンビネーションだが、いくつかの問題点も指摘されている。たとえば、カメラで強い光の周辺が紫色になる現象。あるいは、アルミニウムの背面は意外と傷が付きやすい問題(筆者のiPhone 5[ブラック&スレート]には、3日で背面に4本のヘアライン上の傷が入っていた)などがある。

 経年劣化を楽しみながら長くモノを使う、という類いの小物は筆者も大好きだが、その傷が「味」になるかどうかは、いまだ未知数だ。米国ではマッチョな力強いケースしか売られていないので、もっと薄くて目立たないケースが出てくることを望んでいるのだが・・・。

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Appleとアジア = 避けて通れないチャイナリスクと、脱サムスン

 iPhone 5の解剖記事がいくつか出ているが、その中で指摘されている、使われているパーツは、サムスン、Qualcomm、Broadcom、村田製作所、Dialog、Texas Instruments、STMicro、Cirrus Logic、Avago、Skyworks、NXP、旭化成エレクトロニクス(AKM)といった顔ぶれ。使用されているパーツはすべて新しく採用されたもので構成されているそうだ。

 また、フラッシュメモリメーカーにはSanDiskを、ディスプレイはLG、ジャパンディスプレイ、シャープへ、そして1Gバイトに増強されたRAMはエルピーダ製が採用されているそうだ。パーツ全体からすると、裁判で係争中のサムスンの割合を下げている。しかし、iPhone 5の高い処理能力と消費電力の低さを支えているA6チップはサムスンの32nmプロセスによる製造。ただし、チップ自体はApple独自のデザインが施されており、LTE環境下でのバッテリの持続時間などに効果を発揮しているようだ。

 また、AppleのiPhoneなどの組み立てを手がけるFoxconnの工場内で暴動(もしくは暴動に近い従業員同士の騒ぎ)が起き、iPhoneのパーツの製造やiPhone自体の組み立てに影響が出るのではないか、との懸念が拡がった。

 iPhone 5の最初の週末の売上がアナリストの予想を下回ったことから、シャープのディスプレイ供給の遅れが原因ではないか、あるいはFoxconnの工場の事件でさらに出荷が遅れていくのではないか、といった懸念も拡がった。しかし、米国内で初期出荷以降の予約の配送が早まったなどの報告もあり、現状はこうした製造上のリスクは拡がらないと見られている。

 しかしながら、中国ではない場所での製造にも目を向け始めている。Foxconnはブラジルでの組み立て工場を準備しているとの情報もあり、中国偏重の製品製造が少しずつ変化をしていくと見られる。

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