新興企業に求められる防御可能性--あなたの会社はテクノロジ型?けん引力型?

Ben Parr (Special to CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年09月19日 07時30分

 投資家が新興企業に求める最も重要な資質の1つは、防御可能性である。その新興企業の製品は、すぐにコピーされてしまう可能性があるだろうか。その新興企業には、ほかの企業にはなかったようなテクノロジや特許があるだろうか。その製品にはユーザーがイナゴのようにどっと押し寄せるだろうか。

 未成熟なシード段階の新興企業には、2つのタイプがあると筆者は考えている。1つ目のタイプは、テクノロジ型の新興企業だ。これは、かつてどの企業も手にしたことのない独自のテクノロジを構築したことで、防御可能性がある企業である。2つ目のタイプは、けん引力型の新興企業だ。テクノロジ型の新興企業とは違い、けん引力型の新興企業は、ユーザーを引きよせてその利用数を増やしていくことで、防御可能性を獲得する。

 Googleが検索戦争で注目を集めたのは、けん引力ではなく、テクノロジのゆえだった。
Googleが検索戦争で注目を集めたのは、けん引力ではなく、テクノロジのゆえだった。
提供:Wikipedia

 Googleはテクノロジ型の新興企業だった。その検索エンジンを興味深いものにしたのは、同社の強力なウェブ巡回プログラムや、高度な検索アルゴリズム、そしてPageRankテクノロジだった。AltaVistaやExciteに支配されていた市場において、その多彩な検索エンジンは傑出した存在になった。その検索結果はとにかく優れており、それが最終的に成功した理由だ。

 一方、Facebookはけん引力型の新興企業だった。Zuckerberg氏は、thefacebook.comの最初のバージョンを、ハーバード大学の寮の部屋でたった2カ月間で構築した。それは、特別なテクノロジや高度なアルゴリズムのために特異な存在になったわけではない。プロフィールや交際状況、ウォールといった、鍵となるソーシャル機能を取り入れていたからである。そうした機能は、Facebookがハーバード大学や世界中の数多くの大学で人気を得るのに一役買った。自分の友達が皆Facebookを使っているなら、ほかのものを使う理由があるだろうか。

 確かにGoogleは最終的に、誰も追いつくことができないような大きなけん引力を得た。そしてFacebookもすぐに、どのようなサービスもまだ対抗できないプラットフォームと、一連のソーシャルアルゴリズムを構築した。しかしどちらの企業もスタートした時は、けん引力型かテクノロジ型のどちらかであった。優れた新興企業は、設立当初は2つのタイプのうちのどちらか一方に傾く。そうすることで競争において防御できるようになるからだ。

 もしあなたが資金提供を求めている起業家で、特に今回が初めての起業なら、シードラウンドの資金調達よりも前に、これら2つの性質のうちの1つを獲得することを強くお勧めする。投資家が期待しているのは、あなたのアイデアがうまくいくこと、あるいはあなたのテクノロジが非常に素晴らしいためにいずれ大企業に買収されることだ。テクノロジかけん引力のどちらかによる防御可能性なしに資金を獲得するのは、非常に難しい。

 このルールには例外がある。テクノロジやけん引力を持っていることが明らかになるよりずっと前に、投資家が単にそのチームに賭けてみるという、通常と異なるケースだ。しかしこれを実現するには、特別な背景や特別な人脈、そして何よりも、起業家として成功した実績がそのチームになければならない。

 一般的には、けん引力か、防御可能性のあるテクノロジのどちらかを誇れるようになるまで、資金調達を行うべきではない。ベンチャーキャピタリストとの次の会議に、素晴らしいデモを見せるか、右肩上がりのグラフを持って行くことができれば、あなたのビジネスははるかに楽になるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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